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「…いや、でも……ほんと…」
「なら暴れて抜け出したら？」
「……｡」
確かにそんな振り落とせるくらいの力は無いけども。歩いて行けなくは無い。と、意地を張る。
「……ふっかの…」
「何。」
「ふっかの、迷惑になるのは、やだ。」
「……。」
そういえばふっかの腕の力が強くなる。
周りは囃し立てる所か黙ってその光景を見ているらしく、段々と恥ずかしくなっていく。
逆に騒がれた方が良かったかもしれない。
「周りなんか見なくていいから。」
と言われてそっと頭の視線を下に向けられる。
ふっかも、こんな優しい手つき出来たんだとしって、また胸が苦しくなった。
「貧血ね。Aさん、あなた人より大分鉄分が足りないから、気をつけなきゃ。」
「……はい。」
「1度病院で見てもらってね。簡単な紹介状は書いておくから。」
そう言って保健室の先生は会議があるからと言って保健室を出ていった。
ふっかはその間もずっと後ろの壁に持たれながら聞いている。
腕を組むその姿からも、怒ってますという空気がひしひしと伝わるから、先生に「なんでこいつに見張り頼んだ。」と、恨まざる得なかった。
布団に潜ってできるだけふっかと目を合わせないようにしていたら、ふっかがベッドに座る。
軋む音は思ったよりも大きくて、しかも派手に跳ねてびっくりする。
思わず布団から顔を出すと、険しいふっかの顔。
「…いつから。」
「え？」
「いつからだよ。具合悪かったの。」
え、何。尋問？
腕を組み、こちらを睨みながら聞くその姿は怖くてまた布団に被る。でもその手を掴んで無理やり顔を出させる。無言の圧からも伝わる怒りが怖くて目だけは逸らす。
「えっと…さっき？から？」
「巫山戯てる答え聞いてるつもりねえんだけど。」
「………一昨日、から…。」
ため息とともに少し離れるふっか。
2人の間に沈黙という時間が流れる中、雨音はさっきより強くなってるのが唯一の救いだった。
「あー！クソ！！」
「…っ！」
「あっ、違、お前に言ったんじゃねえって…」
何となくふっかが怖くて、今度こそ布団を被って顔を隠す。
もうふっかに意地悪されて泣くことなんかないと思ったのに、今日のふっかは怖くて、辛い。
その後なんだか言っていた気がするけど、声を押し殺して泣くことの方が大変で何も聞こえなかった。
なんでそんなに怒るの。
幼馴染だから？
でも、他の人には優しいふっか。
私ふっかの、ほんとに、なんなんだろ。
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作者名：函娘 | 作成日時：2023年9月26日 20時
