21 ページ21
ああいう子とか。と、絶賛黄色い声を上げてる烏合の衆(大変失礼)を指さすと、「あれは元気ありすぎだなぁ。」と苦笑いされた。それもそっか。
「わかってないなぁー。」
「？」
「いいよ、今はそれで。いつか分かるから。」
頭の上に乗るその手はふっかと違って大きくて優しい。
いつもされてる扱いが雑且つ暴力的なせいで、この優しさは身に染みる、というか変に緊張するからちょっとやめて欲しい。
「ちょっと、うちの旦那に手出さないでくれる、泥棒猫！」
「いたたたたた。」
そう、普段ならこんなふうに力の限り頭をグリグリされるから。
「ふっかー。Aちゃんの頭潰れちゃうよ。」
「やめて！いたい！！」
思いっきり振りかぶってふっかと二、三歩距離を置く。
ふっかは不機嫌そうにこちらを睨みつけている。慌ててきたのか汗は滝のように流れてるし肩で息をしてる。
「誰もふっかの旦那さん取らないよ。」
「んふふ。」
「お前なぁ……マジに受けとんなよ｡」
この2人の関係の真偽は置いといて。
でもまぁ、大分仲がいい2人なのも知ってるのでふっかにとっては嫌だったらしい。
と、思ってのフォローだったのに何故睨む。ひーくんも肩を揺らして笑ってる。
「…いや、旦那さん大好きなんだなって。」
「ほんとお前１回ぶっ飛ばすぞ。」
「こっわ………」
本当に機嫌が悪くなりつつあるふっかの相手はしんどい。というより今は出来そうにないのでその場を離れようとすると、視界が反転した。
別に誰かに振り向かされたとかという訳でもないし、なんなら地面から天井にひっくり返ったような、というか、ひっくり返った。
「A！！！」
「Aちゃん！！！」
友達とひーくんの呼ぶ声が聞こえて、一瞬意識が遠のく。
ひっくり返ったのにいつまでも来ない固い衝撃は、ふっかが抱きとめてくれたおかげで来なかったことを理解したのは、ふっかが私のおでこに頭を当ててからだった。
こないだの図書館でも思ったけど、ふっかは見た目は細いのに腕はしっかりしてるな、なんて場違いなことを思っていた。
「…ふっか？」
「はあ……熱は無いな。ちょっと俺保健室連れてくわ。」
「…え？」
いや、もう歩けるんだけど。というか、ただの目眩なんだけど…なんてことを言いかけたらすごく睨まれた。
ふっかが私を抱き上げるから、注目の的にされる。
「い、いい、大丈夫…」
「目の前でひっくり返ったやつが説得力ねえよ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：函娘 | 作成日時：2023年9月26日 20時
