思い想われ雨右回れ (ページ3)

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いや、教え方は上手いと思う。
赤点から急にプラス20点くらい盛れるくらいには教え方は上手いと思う。そこは素直にすごいと思う。
…………やる気の問題と、彼と私の距離感が問題なだけで。

出会った頃はそんなこと無かったのにな、なんて思ったところで私もふっかも、もう高校2年生。思い出したところで今がこうなんだからどうしようも無い。

ふっかと私は、幼馴染というか、腐れ縁というか。
初めてであったのは同じ幼稚園で同じ組にいて。
実はお家もお隣なんですなんてママが話してて。

ママたちが話してる後ろで遊んだことがきっかけだった。
凄く劇的な出会いとかそんなんじゃない。普通に知り合っただけ。

あの頃は一緒に遊んだり、喋ったり。
いやでもちょっとバカにされたり、今みたいにグズって言われてたから大差ないかもしれない。
でも今よりは絶対会話が成り立ってたと思う。
一方的に相手のダメなところばかり指摘するとかじゃなくて。怒ったり、泣いたり。それこそ何気ないことで笑ったり。

小学校も中学校もずっとふっかといた気がするけど、会話らしい会話は徐々に減っていった気がする。
中学の3年なんて今と大して変わらないくらい喋ってない。

私は、いつからかふっかの棘が痛すぎたから、抵抗すればするほど食い込むから、ただじっと構えるだけになっていた気がする。
聞いて流して謝ればこんな時間早くすぎる。
いつからそうなったのかは分からないけど、そりゃこんなに言われ続けたらそうもなるよねなんて自分を正当化することに成功しつつ、ふっかの小言をどうかわしてやろうかと思いながら部屋に戻った。

｢なんでそうなんだよ。｣
｢…数学わかんない。｣
｢ここのミス数学じゃなくて算数レベルだろ。おい計算機出すな。｣

よくまぁこんなバカに付き合うこと。
と、我ながら思う。
本当に数学が苦手というか、数字が嫌い。なんか嫌い。好きになれない。
そもそも数字から拒否反応を起こしてるからもうショックでそのまま天に召されるのでは？
なんて巫山戯てみたら怒られた。当たり前だけど。

｢…ちゃんと教えてくれるとこ凄いよね。｣
｢おばさん達が困るだろ。｣
｢…いや、学校行った方がママたち喜ぶけど……？｣

そりゃ、夏休み中は基本ゲームして部屋にひきこもってる娘なんか邪魔でしかないでしょうに。
追試は嫌だけど無理やり外に追い出されて避暑するくらいなら、まだいいのではなんて思っていたら、ふっかに軽く小突かれた。