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雨自体はそんなに好きじゃない。
頭も痛くなったりするし、びしょ濡れになることもあるし。
でも、降り続ける音はどこか心地良い。
こんな日は部屋でお茶とお菓子を食べながら映画を見るのにピッタリなんだよなぁ、なんて考えていた時だった。

黄色い声が鼓膜を破る勢いで突き刺さる。

その声の方に顔を向けなくてもわかる。
犯人はふっか、の取り巻きたちだ。

「あーあー。深澤は相変わらず歓声真っ黄色ねぇ。」
「凄いね。」

ふっかにパスが行くだけでも上がる歓声に耳を塞ぐ。ほんとに鼓膜破れそう。
まるでアイドルみたいな扱いを他人事のようにそれを眺める。
当の本人は大分調子に乗ってて、ポーズなんか決めてる。その様子に更に沸く観衆を遠巻きに見ながら、私はこっそり体育館を抜け出した。
外に出れば雨音の方が大きくて、さっきの歓声なんか全部かき消してくれ…………るにしたって強すぎない?
明らかにあの歓声を掻き消すのは強すぎるというか、さっきより強くなってる気がする。
…帰りまでに止んでくれるかな。流石にこんな雨の中濡れて帰るのは嫌すぎる。

「私少し打ってくるよ。」
「じゃあここでまってるね。」

退屈になったのか友達は一言そう言ってコートの中に入る。私はというと、1人で外をぼーっと眺め続けていた。

「Aちゃん?」
「ひーくん?」

縁に座って足をぶらぶらとして遊んでいたら、その下からひょっこり出てきたのは、ひーくんこと、岩本照くん。
彼は今隣のクラスで数学の授業の筈だけど、

「サボり?」
「うん。サボり。」

でしょうね。

そのままひーくんは隣に座り込んで私にチョコを差し出してくれる。
こんなイカつい見た目でチョコが好きというのは中々のギャップだよなぁと、いつも貰う度に思う。

「Aちゃんもサボり?」
「サボりと緊急避難。」

指を指した方角に黄色い歓声。それをみてひーくんは苦笑していた。

「相変わらずなんだ。」
「相変わらず。」

ふっかがモテまくるなんてことは1度や2度なんてもんじゃない。
高総体に代打で出た時も他校の人達から応援されてたのは去年の夏。今年はやや規模を狭めて、校内で歓声浴びまくってる。

「Aちゃん肌白いね。外に出遊ばまいの丸わかり。」
「やだそれセクハラじゃん。ひーくんのえっちー。」
「ちょ、ばか、そんなんじゃねえよ!?」
「そんなに必死に慌ててると本気で見えるよ?」

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設定タグ:SnowMan , 深澤辰哉 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:函娘 | 作成日時:2023年9月26日 20時

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