思い想われ雨右回れ (ページ16)

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その後も緩く会話が続いて、気づけば学校に到着していた。いつもならあんなに長く感じる登校があっという間に感じた事に少し感動していたけど、そんな余韻を感じる暇はなかった。

教室に入ると、ふっかはたちまち女の子に囲まれて、私は友達に囲まれた。

相変わらずの化粧の匂いとキツい香水が嫌で私は自然と距離を取る。

「夏休み何したの？」
「全然連絡くれないじゃん！」
「ねえピアス新しくした！？」
「待って待って！俺聖徳太子じゃねーから！順番順番！！」

なんて言って女の子一人一人に対応していくふっかを見て思わず舌打ちしそうになった。

なんとこの男、学校ではかなりモテる。

人懐っこく男子と絡む姿ならまだしも。
中学の時、初めて女子とあんな近い距離で、しかも軽い調子で会話しているのを見た時なんか目が飛び出そうなくらい驚いた。

そりゃもう、
お前そんな顔して会話できんの？と。
なんなら本人も驚いてた。それに関してはなんでだ。

でもその時に理解したのは、ふっかと私はそんな関係に到底なれないという現実と、所詮私の扱いはそれなり、というわけで。

幼馴染という形容詞は何の意味もないどころか、私の胸に深く突き刺さる。

思えばその時からかもしれない。
ふっかに言い返さなくなったのは。
仕方がない、仕様がないと納得する場面だった。
そりゃ、サンドバックを兼任できる色気もへったくれもない奴が隣にいるより、可愛いを目指してお洒落してる女の子の方が遥かに花がある。

だからってこの雲泥の差は何なのか。

女の子に囲まれて、笑顔振りまいて。
私にはそんなこと一度もしたことが無い。
怒ってるかおちょくるか。
別に羨ましくなんかない。ただ、調子に乗ってるふっかをみてムカつく。
彼女たちはバカにされることも、宿題を手伝わされることも無い。理不尽すぎるその扱いが、どうしようもなくムカついた。

なんて言い訳をするのもなんだか悔しくて、それ以上は考えないようにしている。

しかしまぁ、こんなにモテてるふっかの、取り巻きの女の子たちに何か言われることは正直1度もない。