思い想われ雨右回れ (ページ2)

今日:44 hit、昨日:33 hit、合計:81,672 hit

2 ページ2

｢辰哉くん見習って、ちゃんと勉強したら？いつまでも教わってないで。｣
｢……別に私からは頼んでないよ？｣
｢そんなこと言ったら、また辰哉くんに怒られるわよ。｣

それはそう。だから本人が居ない今ここでそんな文句を言ってるのだけれど。

今日だって別に説教を食らう為に家に呼んだけじゃない。むしろそんな用事で呼ぶやつは見た事がない。

私の今回の中間試験の点数が悪すぎて夏休み没収を食らいかけたから、幼馴染で腐れ縁のふっかが教えてくれているだけ。
教えて貰えることに感謝こそすれ、別にこちらから頼んだ訳でもない。

『どうせ赤点だろ？今日家行くからな。』

と、今日の昼に言われたことが発端。
いや確かに赤点だけど。
数学も科学もちゃんと赤点だったけども。
言い返そうにも言い返せない赤点たちと、どうせママに聞いたらバラされる事実に私は分かりやすく肩を竦めた。

聞いてもらったとおり、頼んだ訳では無い。
向こうが勝手に来たのであって私は悪くない。点数は悪いけども。

なんて気が重いのか。
今日の昼から重かった気持ちは、実際説教を受けてしまって更に萎縮している。
しかも今の説教は今回の追試とは全く関係ない。警戒心がないだ、緊張感がないだ。
何の話？と聞き返しても、｢そんな自覚のないところが！｣と、悪化したので、結局ふっかが何に怒っていたのか分からない。

警戒心、と言われても。
ふっかが出していた名前と、思い出せる顔を浮かべる。それでもどこか曖昧な記憶は興味のなさを示しているようでちょっと申し訳ない。
確か………ただ背が足りなくて教材を取ってもらっただけの、委員会の後輩。だったはず。
今日初めて話した相手だった。
もう顔だって名前だって覚えてない。そもそもあれは…会話と言える長さだろうか。

寧ろその後のふっかの｢チビ。鈍臭。椅子でとりゃいいだろ。｣からの｢ほんとに椅子持ってくるなバカ！｣の理不尽な怒りの方が印象に残ってる。
この後に勉強を誘ってきたから、説教のために誘ったのか…なんて思ったら更に気分が下がる。
怒るなら怒るでもうちょっとマシな怒り方をして欲しい。

モチベだって最初からなかったものが更にマイナス値。部屋に戻るのさえ億劫だ。