[続] デ レ 病 ≪ 重岡・小瀧 ≫

デレ期 ３８ ページ38

片付けが終わったころには空は綺麗な夕焼け色に染まっていて。

桐山さんは「しばらく自由休憩や！」と言って一人で焼きそばを食べに行っていた。




取り残された私たち四人はただただその場に立ち尽くして夕焼けの空を見上げる。

私たちより一歩前で空を見上げるラビットカップルはしっかり恋人繋ぎで。



嬉しそうに微笑み合って見つめ合う二人はもうカップルそのものだった。





そんな二人に比べて私と大毅は手も繋がず肩と肩が触れこともなく。

一定の距離を保ってただただ空を見上げるだけだった。



何で付き合ってるのに"カップル"という壁に立ちふさがって悩んでいるんだろう。

すごくちっぽけなことで悩んでいる自分が馬鹿馬鹿しくなった。





『大毅…手っ……』


「ん？どうかした？」



『ううん、何でもない』



"手繋いでもいい？"と言おうとした言葉は何かがつっかえて言えなくなってしまった。

きっとそれはあのとき繋いだ手を大毅に拒まれたから。





≪ い、今は…そういうの嫌や ≫



どこか恥ずかしそうな面倒くさそうな顔でそう言われたすいか割り。

またそんな風に嫌がられるんやないかって急に不安が押し寄せてきてしまったみたいだ。






それからしばらく無言の空間が続いて。

私の顔色を伺うように何度も私の顔を見る大毅は気まずいんやろか。



初めて大毅と"気まずい"と思ってしまった。






≪ 俺、ハグもキスも頑張るから ≫


≪ 期待しといて ≫



旅行に行く前、大毅が私にくれたメール。

大毅からのメールに浮かれてた私は大毅に期待しすぎたのか。



大毅の温もりがない右手がすごく寂しくて冷たかった。






大毅は本当にずるい、人に散々期待させといて。

すぐ顔赤くするしすぐかっこつけようとするしちょっとしたことで楽しそうに笑うし。



でも…私はそんな大毅が大好きなんや。

無駄に期待させてくる大毅もシャイなところも全部全部。







『大毅ごめん…今日は一緒の部屋にいたくない』


「え、いきなりどうしたん？」



そう言って大毅の方を見れば大毅は相変わらず動揺していて。

ごめんなさい、私は欲張りやから大毅と一緒の部屋にいたらキスの一つでもしてしまう。



きっとまた大毅に拒まれてしまう。






"じゃあどこで寝るん？なんで？"と言ってくる大毅といるのが

物凄く気まずくてその場にいられなくて思わずその場から逃げるように離れた。




きっとこれは私が大毅に求めすぎた罰だ。









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