[続] デ レ 病 ≪ 重岡・小瀧 ≫

デレ期 ３７ ページ37

あれからしばらくして流しそうめんを終えた私たちは後片付け。

使った道具を洗う私たちを後目に桐山さんは重そうに木材を片付けていた。





「宇佐野さん、これ重いから一緒に洗おう」


「はいはい、小瀧くん重いの一人じゃ無理やもんね」



私の隣で洗い物をする二人はそんな会話をしながら一つの道具を二人で洗っていて。

いいなぁ…距離近いし楽しそうに微笑み合ってるしほんまにカップルみたい。




それに比べて私たちはそれぞれの道具をただひたすらに洗うだけ。

たまに肩と肩が触れ合えば驚いた大毅が「うわぁあ！」と言って私から大げさに離れる。



今日は大毅を見る度に"やっぱりこれ以上求めるのは無理なんかな"と思ってしまう。





「A、水のかけ合いしよ！」


『大毅どんだけ水のかけ合い好きなん？』



そんなことを言いながら水道の水をかけてくる大毅。

そんな大毅は本当に女心を分かっているのか…と少し不安になる。



結局悔しくなった私も大毅に水をかけて水のかけ合い状態。

楽しそうに笑う大毅を見ると"やっぱりこの距離感を壊してはいけない"という気持ちになる。






でも…せっかくの旅行やのにハグもキスもせずに帰るのか？

楽しい思い出もいいけどシャイなのも分かるけど手も繋がずに帰るのか？



神ちゃんやって桐山さんやって私たちのためにこの場を作ってくれたのに。

でもやっぱり宇佐野さんたちと比べるとカップルとしての壁を感じる。





水のかけ合いも楽しいけど青春やけど…通りすがりの人からはどう見えてるんやろう。

ただの友達なんやろか、姉弟に見えるんかな。



あかん…そんなこと気にしてたらせっかくのダブルデート楽しまれへんって。





「冷たくて気持ち良いなぁ！A！」


『へっ…あぁ、そうやな』



突然話を振られて思わず動揺してしまった。

それにあんなきらきらな笑顔でそんなこと言われたらまた好きが増えてしまう。




気持ち良さそうに水道水を浴びる大毅は

太陽が照りつけてるせいか水道水が光っているせいか物凄く眩しく見えて。



一人で焦っている私の胸をまた高鳴らせた。






ずるいよ、大毅ずるい。

私ばっかり焦って私ばっかり好きになって私ばっかり。





ちらっと大毅の方を見ればまたきらきらの笑顔で笑うからもう目が離せなくなってしまった。







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