ラビット病 32 ページ32
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『 おれさあ、 』
残り少ない花火を出して、最後の二袋のうち片方を開けながら小瀧くんが呟いた。
『 宇佐野さんと仲直り出来て、ほんっまよかった 』
「ありがとう」なんてにこって笑顔見せられたら、わたしが彼にムカムカしてた過去なんて消してしまい去りたくなって。
わたしも「ごめんね」なんて色が変わってく花火をゆらゆらと揺らした。
「 わたし、小瀧くんが言ってくれた言葉、忘れへん 」
『 はっず、やめてや。さっさと忘れてや〜 』
おれ、絶対宇佐野さん泣かせへん、頼もしい男になるから。
目の前で恥ずかしと手の甲で顔の温度を確認してる彼が言った言葉だとは、到底思えないが、
わたしにとっては、骨の髄の奥まで届いた素敵な言葉だった。
シャアっと音を出して、ラストスパートも綺麗に飾った花火は跡形もなく消えていった。
『 これで終わりや 』
少し寂しそうに、慣れた手つきで袋を開けるとわたしに差し出したのは線香花火。
「 いいね 」
『 おれこれめっちゃ苦手やねんな〜 』
最初は静かに音を立てていた花火も、だんだんキラキラとオレンジの火花を飛ばす。
『 競走しようや 』
「 負けた方は罰ゲームやからね 」
そういった途端、急に奪われた唇。
視界は彼で埋まってしまって、顔が離れた時にはもう火の玉は虚しく地面に消えてった。
『 しゃ、おれの勝ちやな 』
「 それはあかんずるい 」
『 罰ゲームは何にしよかな〜 』
暗い中でもニヤニヤしてることくらいわかる。
「 なんか変な事考えてるやろ 」
『 あっ、じゃあ 』
「 そういえば、一生離さへんっていうてた手、離してるけど 」
『 ああ!! 』
「もうもっと早く言ってや」なんて、また小瀧くんがわたしの手をきゅっと優しく、包み込んだ。
喧嘩のあとだからか、花火のあとだからか、キスの後だからか、やけに彼の手が温かく感じた。
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りってぃ(プロフ) - ゆり。さん» ゆり。さん!ありがとうございます…!ついに完結いたしました(;_;)合作は初めてですごく不安でしたが、そう言ってくださってすごく嬉しいです…!わわっ、大好きだなんて嬉しすぎますよ!これからも頑張りますね、私も大好きです(^^) (2018年10月1日 16時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり。(プロフ) - 完結おめでとうございます!!大好きな作者様2人が合作して下さりとっても、とっても嬉しかったです!!デレ期とラビット病のコラボ最高でした!りてぃふか万歳っ!ヽ(*´∀`)ノこれからも、二人とも頑張ってください!大好きです! (2018年9月30日 16時) (レス) id: 2a1f697cc9 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - ちげおかみぃさん» こんにちは、コメントありがとうございます('ω')真っすぐに褒めていただいて本当に嬉しいです…!これからも感動できるような作品書けるように頑張りますね!これからもちげおかみぃさんに大ファンでいてもらえるような存在になれるよう頑張りますね! (2018年8月5日 15時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
ちげおかみぃ - りってぃさん、やっぱすごいですね!もう、りってぃさんの作品っていつもいい意味で裏切られるというか…、人に感動を与えられる作品しかなくて…!なんて言ったらいいかわかんないんですが、一言でいうと…。『大好きです!大ファンです!』 (2018年8月4日 18時) (レス) id: 5d20a0b4b9 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - ゆり。さん» こんにちは、コメントありがとうございます('ω')わわわ、新作から飛んできてくださったのですね!大ファンだなんてとても嬉しいです!ありがとうございます!これからの展開もぜひ楽しみにしていてください…! (2018年8月3日 16時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りてぃふか | 作成日時:2018年7月24日 17時