ラビット病 15 ページ15
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「 …小瀧くん、 」
助けに来てくれたっ、
小瀧くんの笑顔が見えて、安堵の涙が零れそうになった。
でもそんな感動は一瞬で、わたしはさらに不安になった。
『 待っといてや 』
だって、なんて言った小瀧くんたちはどうやってわたしたちを助けてくれるの?
喧嘩の経験なんてあるわけないし、あのふたりがなにか武道を習っていたとはとても思えないし、聞いたことがない。
一回逃げて警察でも引っ張ってきてくれればいいんだけど。
でも小瀧くんたちは、そこから一歩も動かない。
固まったように立ち竦んでる。
あれ、もしかして、怖がってるのかな、
たぶんそうだ。威嚇でもなんでもなく怖いお兄さん達を前にして足が竦んで動けないのだ。
「ほんまに来ちゃったで」なんて男の人たちは、ヘラヘラしてそんな小瀧くんたちに殴り掛かる。
もちろん小瀧くんたちが反撃できるわけもなく、埃が募ったコンクリートの上に倒れ込んだ。
「よっわ」なんて男の人たちが油断して笑ってるうちに、小瀧くんが近くにあった鉄パイプを振り回し始めた。
重岡くんも必死になってぶんぶん振り回してる。
その必死な姿に、涙がこみ上げてきた。
あんなにボロボロになってわたしを守ってくれる彼は初めてだったから。
めんどくさくなったのか、それとも彼らに引いたのか、男の人たちは最後にふたりを押し倒すと出ていった。
「 …小瀧くん? 」
返事がなくて、怖くなって、もう一度彼の名前を叫んだ時、
『 いって 』
と小瀧くんと重岡くんがゆっくり立ち上がって、わたしたちのもとへ走ってきた。
近くで見ると、彼らの顔には複数の傷が出来ていて。
『 宇佐野さん、大丈夫?
…ごめん、おれ、なんも出来ひんくて 』
なんて俯いた小瀧くんに、解放された手でぎゅっと抱きついた。
「 ありがとう 」
安心したのか、助けに来てくれたことが嬉しかったのか、涙が止まらなくて。
「 え、ちょ、A?な、泣いてるん? 」
チラッと横を見ればわたしたちと同じ状況。
重岡くんと小瀧くんは、「痛い」とか「焦った」なんて笑いながら、腰を落とした。
『 はあよかった、よかったほんまに 』
それからわたしの頭を撫でた小瀧くんは、顔は傷だらけでも、とても優しい笑顔を見せた。
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りってぃ(プロフ) - ゆり。さん» ゆり。さん!ありがとうございます…!ついに完結いたしました(;_;)合作は初めてですごく不安でしたが、そう言ってくださってすごく嬉しいです…!わわっ、大好きだなんて嬉しすぎますよ!これからも頑張りますね、私も大好きです(^^) (2018年10月1日 16時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり。(プロフ) - 完結おめでとうございます!!大好きな作者様2人が合作して下さりとっても、とっても嬉しかったです!!デレ期とラビット病のコラボ最高でした!りてぃふか万歳っ!ヽ(*´∀`)ノこれからも、二人とも頑張ってください!大好きです! (2018年9月30日 16時) (レス) id: 2a1f697cc9 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - ちげおかみぃさん» こんにちは、コメントありがとうございます('ω')真っすぐに褒めていただいて本当に嬉しいです…!これからも感動できるような作品書けるように頑張りますね!これからもちげおかみぃさんに大ファンでいてもらえるような存在になれるよう頑張りますね! (2018年8月5日 15時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
ちげおかみぃ - りってぃさん、やっぱすごいですね!もう、りってぃさんの作品っていつもいい意味で裏切られるというか…、人に感動を与えられる作品しかなくて…!なんて言ったらいいかわかんないんですが、一言でいうと…。『大好きです!大ファンです!』 (2018年8月4日 18時) (レス) id: 5d20a0b4b9 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - ゆり。さん» こんにちは、コメントありがとうございます('ω')わわわ、新作から飛んできてくださったのですね!大ファンだなんてとても嬉しいです!ありがとうございます!これからの展開もぜひ楽しみにしていてください…! (2018年8月3日 16時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りてぃふか | 作成日時:2018年7月24日 17時