ラビット病 11 ページ11
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「 入りたい? 」
『 宇佐野さんはいる? 』
「 ううん 」
『 じゃあおれも 』
少し水がビーサンにかかる、砂浜と海の際あたりをのんびり歩く。
前を歩く小瀧くんの大きな足跡の上をついていくけど、
やっぱ足長いなあ。歩幅が全然違う。
『 海嫌い? 』
「 ちょっとね 」
『 そうなんや 』
「 海入るより、ナンパされてみたい 」
『 な、なんちゅうこと言うねん!』
小瀧くんは焦ったようにこちらを向いて、本気で困ったような顔するから、「じょーだん」と笑って見せれば、安心したようにため息をついた。
「 ナンパされても小瀧くんが守ってくれるやろ 」
なんて、わたしが彼の背中をつんとすれば「ほんまずるいわあ」なんて後ろから手を伸ばしてわたしの手を握った。
ふと振り返ればあのカップルは水掛け合いながら楽しそうにしている。
少し「いいな」と見ていれば、小瀧くんは「やる?」とわたしの顔を覗き込んできて、
『 あーゆーことしたいん? 』
「 全然 」
『 へえ 』
少し口を尖らせた小瀧くんは、「あっ」と何かを見つけたようにすぐに表情を変えて、
『 ちょ、待ってて! 』
と駆け出した。
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『 お待たせ 』
しばらくして息を切らして帰ってきた小瀧くん。
「ちょっと並んでた」と右手には大きなサイズのプラコップ。
透明のコップの中にあるのはほんのり青いサイダーだった。
それが太陽を反射してきらきら光る。
「 …え、なんで一個なん 」
『 カップルぽいこと、…してみたいなあって 』
よく見ればコップに刺さっていたのは二つに分かれたハートのストロー。
「飲もうや」なんて小瀧くんは照れたように笑って。
少し海から離れたところに座って、小瀧くんはふたりの前にコップを置いた。
『 や? 』
「 ううん 」
『 よかった 』
「せーの」と小瀧くんの合図でわたしはストローに口付け、サイダーを吸った。
キスするみたいな近い距離に小瀧くんは、ぶわっと吐き出して。
『 わ、ごめ! 』
お互いの顔にかかったのは波じゃなく、ふたりが口付けた少しだけ強めの炭酸だった。
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りってぃ(プロフ) - ゆり。さん» ゆり。さん!ありがとうございます…!ついに完結いたしました(;_;)合作は初めてですごく不安でしたが、そう言ってくださってすごく嬉しいです…!わわっ、大好きだなんて嬉しすぎますよ!これからも頑張りますね、私も大好きです(^^) (2018年10月1日 16時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり。(プロフ) - 完結おめでとうございます!!大好きな作者様2人が合作して下さりとっても、とっても嬉しかったです!!デレ期とラビット病のコラボ最高でした!りてぃふか万歳っ!ヽ(*´∀`)ノこれからも、二人とも頑張ってください!大好きです! (2018年9月30日 16時) (レス) id: 2a1f697cc9 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - ちげおかみぃさん» こんにちは、コメントありがとうございます('ω')真っすぐに褒めていただいて本当に嬉しいです…!これからも感動できるような作品書けるように頑張りますね!これからもちげおかみぃさんに大ファンでいてもらえるような存在になれるよう頑張りますね! (2018年8月5日 15時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
ちげおかみぃ - りってぃさん、やっぱすごいですね!もう、りってぃさんの作品っていつもいい意味で裏切られるというか…、人に感動を与えられる作品しかなくて…!なんて言ったらいいかわかんないんですが、一言でいうと…。『大好きです!大ファンです!』 (2018年8月4日 18時) (レス) id: 5d20a0b4b9 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - ゆり。さん» こんにちは、コメントありがとうございます('ω')わわわ、新作から飛んできてくださったのですね!大ファンだなんてとても嬉しいです!ありがとうございます!これからの展開もぜひ楽しみにしていてください…! (2018年8月3日 16時) (レス) id: b7b6eb2e08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りてぃふか | 作成日時:2018年7月24日 17時