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仕事に打ち込む、シングルタスク。
その言葉から少し思い当たる節があり
気にかかる事を深澤さんに質問する。
他のことがおろそかになる。
話を聞けば聞くほど、私のことと重なっていった。
「理由は聞いたの？」
照にそう聞かれ、なかなか出なかった自分に関しての
言葉を少しづつ紡いでいく。
『しんどくなっちゃったって、私と付き合うの。』
彼とは２年ほどの付き合いだった。
私にとってはいつも心の支えで。
私も、私なりに彼を支えられるよう頑張っていたつもりだった。
そのために、会う時間は欲しかったし
コミュニケーションも取ろうと連絡はよくしていた。
でもそれが彼には、仕事が忙しくなるにつれて
しんどい、重い、の感情に変わっていったんだと思う。
酔いが少し回ってきているんだろう、
話し出すとぺらぺらと詳しく話してしまっていた。
「いやそれさ、後で後悔しねえのかな」
『うん、それが嫌だから、たくさん説得したんだけどね、きっと今私のことは頭の片隅だから、伝わらないんだろうなあって。』
どれだけ話しても、修復することを受け入れてはもらえなかった。
「あーーもう、飲もう、Aさん、」
そう言った深澤さんがいつの間にか頼んでいたビールが３杯
店員さんによって運ばれてくる。
「お前今日結構ハイペースだぞ(笑)」
「そりゃ失恋したんだからな、今日くらい飲ませろ」
「「かんぱーい！」」
普段はあまりビールは飲まないけど、
思い切って流し込めば今日はなぜかほんの少しだけ、おいしく感じた。
「あれ、Aビール大丈夫だっけ」
『何か飲んでみたら飲めた(笑)』
彼もよく飲んでいたビール、その時は飲めなかった私。
私がビールを飲めるようになったのは
彼がいなくても生きていけることを表すかのようで。
でもまだ、完全に受け入れられていないのは
残る未練や寂しさを表しているようだった。
気付けば、涙が、一筋だけ頬を伝った。
２人には、気づかれないよう顔を背けて誤魔化した。
．
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作者名：紫苑 | 作成日時：2023年10月14日 13時
