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. 岩本side
「照は最近良い感じの人とか居ないの？」
ふっかと2人で飲んだ時、聞かれた。
「居ねえようなもんかな、希望が薄いもんで。」
実際良い感じな人は居ない。
良い感じになりたい人、なら居る。
「いや居るならはやく言えよー！」
でもそれが叶うことは到底無いことも
痛いほど分かっているから
気持ちに蓋をしようとしているところだ。
今にも泣きそうな声で電話がかかってきたのは
そんな矢先だった。
彼女か？って揶揄うふっかを他所に電話に出ると
ごめんね、と無理して笑う声を聞いて
俺には向かわない選択肢が見つからなかった。
振られたって聞いて少しでも希望が見えたみたいに
感じてる俺は最低かもしれない。
もっとちゃんと話を聞いてあげたかったけど
今の俺は弱みにつけ込んでしまいそうだから
帰りはふっかに託して俺はひとり
急いで飛び乗った終電で帰路に着いた。
ずっと同期として1番近くで見てきたけど
それがそれ以上でも以下でもないから
心地いいのかもしれない、と思うと
思いを伝えることに怯えてしまう。
そんな当の本人からは最近何か無いの、と
ストレートに聞かれる始末。
無いよって嘘を言い切れるほど
まだ気持ちに整理も着いてなかったから
どっちつかずで誤魔化した。
Aと一緒に任されたコラボのプロジェクト。
多分、誰よりも俺は喜んでいる自信がある。
何より絶対成功させて、
この気持ちになにか進展がありますように、
と自分に願って
会社に戻った。
.
続く (更新停止中)
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作者名：紫苑 | 作成日時：2023年10月14日 13時
