26 ページ26
. 深澤 side
2人で行きたい、か。
｢あ、じゃあ2人で行きましょう、楽しみです｣
咄嗟にそう返す。
少し気まずい雰囲気を残して
到着したのはテラス席もあるイタリアンだった。
｢すげ、どれも美味しそう｣
｢前にお昼食べに来て、すごく美味しくって。｣
互いに気になったパスタを注文して、
少しの沈黙の時間が流れる。
｢石川さんは、前にプロジェクト担当してましたよね？｣
｢そうだね、前に1回携わらせてもらった。その時はね、、｣
無言に耐えかねた俺は仕事の話を振る。
｢なるほど、、｣
参考になる仕事の話を聞きながら、パスタを食べ進める。
｢私ね、嬉しい、今回深澤くんと一緒に仕事できるの｣
突然、じっと目を見つめて真剣な眼差しで伝えられる。
｢あー、、石川さんにそう言って貰えるのはなんか嬉しいっすね、(笑)｣
まあ、概ねどういう意味なのかは分かっていた。
分かっていながら、濁した返事を返す。
ふと視線を逸らしたのは外の景色で。
歩いてる人とガッツリ目が合う。
あ。
それが照と並んで歩くAちゃんだと気づくのに
時間は必要なかった。
俺が反応する暇もなく
慌てて照の手を引っ張って早足で歩いて行った。
｢深澤くん？｣
｢いや、どんな案がいいかなーって、考えてました。(笑) 頑張りましょうね、今回のプロジェクト｣
逸らしたままの視線に対する
石川さんの問いかけに、そう答える。
｢そだね、次の会議までにじっくり考えなきゃね｣
｢はい、先輩頼りにしてます！！(笑)｣
｢ふふ、何それ、(笑)｣
少し茶化したように笑顔で言えば、
石川さんも笑ってくれる。
少し和んだ雰囲気になり、2人で会社に戻った。
今頃照達はご飯食べてんだろーなー、と
ちょっと羨ましくも思いつつ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 432人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫苑 | 作成日時：2023年10月14日 13時
