15 ページ15
. you
ふっかさんとはこの公園が
家までの分かれ道だったみたいで。
お礼を伝えて歩き出そうとすれば、
時間も時間だから送らせて、と。
今までは帰りの夜道は心配して
電話に付き合ってくれる人がいたから
安心して帰れていたんだということに
改めて気付かされた。
『じゃあ、お言葉に甘えて、、ありがとうございます』
ああ、そういえば掛けてもらったジャケットも
暖かくてそのまま着てしまっていた。
.
『あの、来週の週末って空いてたりしますか？』
今日のお礼がしたいと思い
思い切って声を掛けてみる。
｢来週、日曜空いてるよ？｣
『話してたおすすめのラーメン、もしよかったら一緒に食べに行きたいな〜って思って、』
｢え！まじ！行こうよ！！｣
パッと顔が明るくなったふっかさん、
喜んでOKしてくれてわたしも嬉しくて。
おすすめ何軒かあってさ〜
どこにしようかな〜って早速悩んでる。
今日1日で、リアコって言われる意味も
モテるって言うのも文句なしで
納得のいく人柄だな、と思った。
「あ、Aちゃん、連絡先交換しない？」
『わ、ぜひ、！』
何となく自分からは聞けずにいて、
照を通して、、とか考えてたからありがたい。
QRコードを読み込んで、
追加されたふっかさんのプロフィール画面。
当たり障りのないスタンプを目印に送信しておく。
照の知り合いという前提はあっても
初対面でここまで仲良くなれた人は思い浮かばなかった。
気が合うんだな、と改めて実感して
更に週末が楽しみになった。
気づけばあっという間に家の前で。
危うく通り過ぎそうになっていた。
『あ、ここです、送ってもらってありがとうございました、！』
これもありがとうございます、と
貸してもらっていたジャケットも返す。
｢いーえ、ゆっくり休んでね？｣
ジャケットを羽織れば
ひらりと手を振って帰っていったふっかさん。
.
家に入って、ソファに腰を下ろす。
お礼のメッセージでも入れておこうかな、と
文章を考えていると。
『えっ 』
画面がパッと切り替わり
着信.. 深澤辰哉 の文字。
びっくりして思わず声が出る。
それと同時に脳裏に浮かぶ照の言葉
学生のときだけどさ。
'' 夜の深澤の電話には出るな '' って言われてたって。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 432人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫苑 | 作成日時：2023年10月14日 13時
