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. 深澤side
夜も深まり、気温はより一層下がって。
冷たい風が吹き始めた。
自分のジャケットを脱いで、
Aちゃんの肩に掛ける。
女の子は冷えるといけないからね。
お礼を言った彼女の声は震えていて。
「ずっと、我慢してない？」
悲しそうな表情、涙を堪える姿を見る度に
苦しさが伝わってくるようで。
初対面の俺に泣き顔なんて、涙なんて
見せたくないかもしれないけど。
今の俺には同じ気持ちで悲しさを
受け止めてあげることができるから。
「泣いていいんだよ、」
つらい、と彼女の目から溢れた涙を
手で掬い、背中をさする。
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『すみません、..ありがとうございます』
「いーのいーの。1人になった途端さみしさとか、孤独に襲われるよね。やだよね、実感するの。」
『ふっかさんも、同じですか』
｢そうね、俺も帰りたくない、全然(笑)｣
正直なところ俺も1人になりたくはなくて。
だからと言って今日出会ったAちゃんに
今夜一緒にいよう、なんて馬鹿なこと言わないし。
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そろそろ流石に帰るか、という流れになる。
... 賭けかもしれないけど、
ひとつ試してみたいことを思いついて。
｢家、こっちだったっけ？｣
『はい、ここから結構近くて。ふっかさんは、？』
公園の十字路を真っ直ぐらしい。
｢俺はね、ここ左に曲がっていったとこ。｣
この公園が偶然分かれ道になっていたことを知る。
『そうだったんですね、本当に今日はありがとうございました、』
じゃあ、と言いかけた彼女を引き止めて。
｢いやいや、時間も時間だから送らせて。｣
照からも念押しのメッセージが届いてたんだよ。
'' Aのこと家まで頼むな '' って。
あいつも心配性だからね。
俺も別に早く帰り着きたい訳では無いし。
いやいや
だからといって
Aちゃんの家に入れてもらうとか、
そんなことは考えてないから。
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作者名：紫苑 | 作成日時：2023年10月14日 13時
