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楽しい。
共通の趣味を見つけたり。
私の好きな物にも興味を持って聞いてくれる
深澤さんと話していると本当に楽しくて。
自然と砕けた接し方も、引き出してくれている感じ。
そういえば。
『ふっかさんって呼んでもいいですか?』
お互いの苗字呼びが
よそよそしく感じてくるほどには
今日の数時間で仲良くなったもので。
まあ、ふっかさん、苗字なんだけど。(笑)
照が呼ぶのが印象に残ってたから。
「お、もちろん。俺はじゃあAちゃんって呼ぼうかな?」
とはいえ急な名前呼びは少しドキッとするな。
『いいですね、距離縮まった感じがします』
.
かれこれ30分ぐらい話しているだろうか。
お酒でぽかぽかしていた体もかなり冷え込んできた。
冬本番が近づいて来るのが分かる。
夜と寒さで、寂しさは相まって。
少しの沈黙の後、
背中にふわっとなにか暖かい感覚が。
『ん、?』
隣を見ればジャケットを脱いでいたふっかさん。
私の肩にはそれが掛かっていて。
「寒いでしょ、大丈夫?」
今の私には、その優しさが温かすぎて。
『..っ、ありがとうございます、』
少し言葉に詰まってしまう。
「ずっと、我慢してない?」
『我慢..、』
時々どうしようもなく悲しくなる。
そんな私の気持ちを見透かされているみたいで。
「泣いていいんだよ、」
いくらその言葉を貰っても初対面の人の前で泣くなんて
有り得ないと、普段なら思うんだろう。
でも、今同じ気持ちでいると知っている
ふっかさんだからこそ、涙が抑えきれなくなっていって。
『..っ つらい、です、』
1粒、2粒、涙が流れて行った。
.
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作者名:紫苑 | 作成日時:2023年10月14日 13時