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私は暗闇の中にいた。




光なんてどこにもない暗闇。




友里恵に刺されたはずの横腹には痛みも何も無い。




あぁ、ついに死んじゃったんだ。




私が死んだら悲しんでくれる人はいるんだろうか。




あ、てっちゃんや直人くん達は悲しんでくれるだろうな。




…広臣も悲しんでくれるだろうか。




そういえば、刺された時広臣泣いてたなぁ。




いつもの男らしい顔じゃなくてただの子供みたいな顔して

ボロボロ涙流してたな。




思い出したら笑っちゃうな。




“A、好きだよ”




そういや、初めてキスした時そう言ってくれたけど

恥ずかしすぎて抱きついて誤魔化してたな。




あー死ぬなら最後に“好き”の一言でも言えばよかった。




あれ?なんで死んだのに涙が出てきたんだ?




拭おうにも身体が動かなくて拭えないし。




もう幽霊みたいなもんなんだろうから動けよ!




動かない身体を諦め目を閉じると楽しかったこと
辛かったこと、いろいろ頭をよぎる。




でも、一番頭をよぎるのは大好きだった広臣。




広臣と初めて抱きついた時、手を繋いだ時、キスをした時。




全部思い出す。




閉じた目からさらに涙が溢れる。




止まってよ…そう思っても止まらず溢れる涙。






“A、Aっ”






遠くから私の名前を呼ぶ声が聞こえる。






“A、起きてくれよ…”






その声は私が大好きで大好きでたまらなかった人の声。




その声は遠くてよくわかんねーけど震えてる。




泣いてんのかな?




だったら、泣き止ませないと。




あの人には笑顔が一番似合う。




暗闇だったはずのこの空間に光が現れその中に

泣いているその人の顔が見える。




さっきまで動かなかったのに動くようになった腕を
その光の中に手を伸ばす…






「ま、た…泣いて、んの…?」






うまく喋れないけどなんとか声に出し光の中で泣いていた
広臣の涙を拭うように頬に手を滑らす。




その頬からは、体温が伝わる。




あぁ、私、生きてたんだ。




それがわかった瞬間、涙が溢れた。





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美憂(プロフ) - 一気に読みました(^o^)vたまーに続き書いて欲しいです(*´∀`)新作も読みますね(*^^*) (2016年3月16日 17時) (レス) id: 4d15662f4a (このIDを非表示/違反報告)
朱梨愛 - 感動しすぎて大泣きしました。笑 最高です! (2016年3月10日 20時) (レス) id: 47497f1d71 (このIDを非表示/違反報告)
ララ - 最高でした。また、いい作品を作ってくださいね (2016年2月25日 2時) (レス) id: 8cafb82927 (このIDを非表示/違反報告)
麻耶 - 続きみたいです! (2016年2月24日 22時) (レス) id: 5dc2af1315 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 感動をありがとうございました!とてもいいお話でした!! (2016年2月24日 17時) (レス) id: f8fdab508f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:FuKa | 作成日時:2016年2月2日 23時

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