路地裏ロボット《怪盗キッド》

製造番号３０ ページ32

Aside









教室で黒羽君をナデナデわしゃわしゃした後、黒羽君が私に聞いてきた。









「なぁ、さっき４時間目で帰るって言ってたけどよォ、なんで帰るんだ？」









『知り合いの人と遊ぶんです。』









それは勿論、嘘だ。









昨日、組織の幹部の１人、ジンからの電話があった。









話し合いの結果、今日の午後に幹部が集まる会議に私も出席する事になった。









何でも、ボスも出席するようで、でも私が心配するのはそっちじゃなく……









「そーいや、雨宮サンのお兄さん、安室さんって童顔だよな。」









『！！？？』









タイミングが良すぎてビックリしてしまった。









『……もしかして黒羽君、超能力者ですか？』









「なんでだ！？




いやぁ、そうだといいんだけどなぁ。」









『ですよねー！あービックリしたぁ！』









「な、なんで安室さんでビックリするんだ？」









『え、だって今、安室さんの事考えてたんですもん。』









へぇー、と興味無さそうに黒羽君が言ったと同時に、担任の先生が教室に入ってきた。









「よーし、全員いるなー。」









先生が今日の連絡をし始めたのを尻目に、私は考えた。








今日の幹部会議は、ボスだけでなくＮｏ.２のラム、そして、NOCである安室さんと怜奈さんが出席する。









怜奈さんは良いとして、問題は安室さんだ。









ボスやジン、ベルモットは、私と安室さんが兄妹のように過ごしてきている事を知っている。









だから今まで、組織内で会わないように融通はきかせてくれていたが、今日は流石に無理だと言われた。









ジン曰く、「アリスらしく兎の仮面でも被っとけばいいだろ。」らしい。









ウチに兎の仮面なんてあるわけないでしょう、と怒鳴ったら、ベルモットが持ってるぞ、と返された、ちくしょう。









一応バレないように声色を変えたりしよう、と思っていたら、いつの間にか１時間目が始まっていた。









………兎の仮面、嫌だなぁ。

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