路地裏ロボット《怪盗キッド》 (ページ25)

今日:31 hit、昨日:8 hit、合計:27,449 hit

製造番号２３ページ25

Aside

「さて、これからどうしますか？」

ベランダに置いてある椅子に、向かい合うようにして腰掛けた。

『どうしましょうね？

あ、空を飛ぶのは却下ですよ。』

「そうですか、残念です。」

『「……………」』

２人の間に冬の冷たい空気が流れる。

寒いなぁと思いながら、私はいい事を思い付いた。

『あの…』

「はい。」

『今から聞きたい事を１つずつ聞いていくのはどうです？

１日１回ずつ、質問には必ず答える、とか。』

「いいですね。

両者質問が終わったら、私は帰り、Aさんは寝る、と。」

『分かってるじゃないですか。

私、そういう人嫌いじゃないですよ。』

「お褒めに預かり光栄です。

では、どちらからいきましょう？」

『じゃ、私から。

怪盗キッドさんの好きな食べ物は何ですか？』

そう聞くと怪盗キッドさんは、キッドでいいですよ、とにこやかに言った。

「そうですねぇ……。

チョコレートパフェでしょうか。」

『なるほど、パフェ美味しいですよね。

次、キッドさんですよ。』

「聞きたいこと……

好きな場所とか、あるんですか？」

『路地裏。』

「即答ですね(笑)」

『だって好きなんですもん、路地裏。

大切な人に出会ったのは全て路地裏ですから。』

そう、赤井さん(パパ)や安室さん(零兄)、コナン君、蘭ちゃんと園子ちゃん……

それに、ジンやベルモットなどの組織の人達とも、路地裏で出会った。

あとこの人にも──と思いながらキッドさんを見ると、いつの間にかベランダの手すりに立っていた。

『あれ、もう行くんですか？』

「ええ、質問も終えた事ですし。」

と言ったキッドさんは、シルクハットを深く被り直した後、私の前に来て片膝を付いた。

「Aさん、また明日会いましょう。」

『毎日こんな遅い時間に、大丈夫なんですか？

貴方も私生活があるでしょうし、３日置きにしません？』

「ふむ……そうですね、夜更かしは女性の天敵だと聞きますし。

ではAさん、また３日後に。」

私の手の甲にキスをしたキッドさんは、闇夜に消えていってしまった。

『また３日後に、キザな泥棒さん。』