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四十四夜 ページ10

Aside









『……あ、私、中森警部に話聞かれてたんだ』









私は、消えた記憶を修復する中でさっきまでの事は思い出せるようになった。









───キッドは、物を盗む悪党です!

───それを頭に置いておいて下さいね!









確か、中森警部はこう言って帰っていった。









『…………』









私は、嫌な事を思い出したな、と思い目を伏せた。









そんな私の頭に、魔法使いさんはポンと手を置いた。









「無理に思い出さなくても良いんですよ?」









『う、うん……』









こうは言われたものの、中森警部が言い残して行った言葉が、どうも引っかかって取れない。









((……直接、聞いてみるか。))









『ま、魔法使いさん!』









「はい。」









『ま、魔法使いさんは!

悪い人じゃ無いよね!?

悪い事、やってないよね!?』









私は、思わず隣に座っている魔法使いさんの手をギュッと握って、叫ぶように聞いた。









「ッ!?//////」









『ねえ、違うよね……?』









「え、えっと……」









魔法使いさんは困ったように首を傾げた。









「……誰から、それを?」









『中森警部って、人。』









「そうですか……」









魔法使いさんは、少し悲しそうに眉を顰めた。









そして、ゆっくりと私の頭を撫でながら言った。









「もし、貴女が私を悪党だと思うなら、私は悪党です。

反対に、貴女が私を悪党ではない思うなら、私は悪党ではないです。」









魔法使いさんは、優しい目をしてそう言った。









私は、心の中で「つまり?」と聞くと、









「私を、信じてくれませんか?」









それを見透かしたかの様に、魔法使いさんは私を引き寄せて、耳元で囁く様にそう言った。









『私が、魔法使いさんを信じないとでも?』









私が強がってそう言うと、魔法使いさんは私の頭を不器用に撫でた。









私は、魔法使いさんに撫でられながら、来世の事を考えた。









『……あぁ、来世は猫になりたいなぁ。』









「どうしてです?」









『だって、こうやっていつでも撫でて貰えるでしょ?』









そう言って私が笑うと、魔法使いさんも微笑んでくれる。









私は、幸せ者だ。

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橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月11日 13時) (レス) @page13 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
28cm(プロフ) - 千さん» ありがとうございます!今から再更新しますね。待っててください♪ (2017年3月12日 18時) (レス) id: 0d354a01d1 (このIDを非表示/違反報告)
- すっごくすっごく面白かったです!ずっと気長に待ってます!頑張って下さい (2017年3月12日 10時) (レス) id: a2a63929c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:28cm(元猫耳剣士) | 作成日時:2017年1月4日 10時

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