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三十七夜 ページ3

快斗side









言った。言ってやった。









俺は軽い優越感に浸っていた。









そんな多少ドヤ顔気味な俺とは裏腹に、Aは目を見開いていた。









何で、どうして、見たいな顔。









俺には知られたくなかったのに、見たいな顔。









そのまま数秒の沈黙があった後、Aが口を開いた。









『あ、のね、快斗くん……』









「おう」









『私、後……

後、三ヶ月でっ……!』









「…………」









『後三ヶ月で、快斗くんと、お別れなの……』









「…………」









『ごめんなさい、ごめんなさい……』









「っ………」









《なんで、お前が謝るんだよ》









この言葉が出てこない。









Aは悪くないのに。









何でお前が謝るんだよ……









しかも、何やってんだよ、俺。









あんなにAを泣かせないって決めたのに。









決めたのに、何なんだよ。









今日、俺はAに何かした?









いや、何一つとしてしていない。









だったら、だったら俺なんて。









俺なんて──









「ごめん……」









『えっ?』









俺なんて───









「俺、帰る。」









『えっ?ま、待って、快斗くん!』









俺なんて────









「俺、Aといる資格なんて無かった。

じゃあな。」









『そんな事ないよ!

か、快斗くん待って!』









Aが俺の手を掴んできた。









『ごめんなさい、私が悪かった。

だから、だから……』









俺なんて、いなければいいんだ。









俺の中で、何かがプツンと音を立てた。









「離せよ!」









『!?』









「俺がAの傍にいる権利なんて無いんだ!

俺がいるとAが悲しそうな顔をするから!

俺なんていない方が良いだろ!?」









俺は一気にまくし立てた。









俺の手を掴んでいたAの両手は、力尽きたようにだらりと下ろされていた。









その手を見つめながら、Aは小さな声で言った。









『快斗くんは、悪くないのに……』









その言葉で、一気に罪悪感が募る。









「………ゴメン」









耐えられなくなった俺は、その言葉を残して病室をあとにした。

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橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月11日 13時) (レス) @page13 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
28cm(プロフ) - 千さん» ありがとうございます!今から再更新しますね。待っててください♪ (2017年3月12日 18時) (レス) id: 0d354a01d1 (このIDを非表示/違反報告)
- すっごくすっごく面白かったです!ずっと気長に待ってます!頑張って下さい (2017年3月12日 10時) (レス) id: a2a63929c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:28cm(元猫耳剣士) | 作成日時:2017年1月4日 10時

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