two petals ページ2
ホームルームも終わり、今は放課後。
外では部活のがやがやした声が聞こえてくる。
誰の声も聞こえない、
気配もしない、
そんな静かな教室で本を読む。
何回も読んだのに未だに飽きない。
よくわからないけど、
それくらいこの本気に入っているのかも。
訳ありな男の子がヒロインに
一目惚れをするすごいベタなお話。
色々なすれ違いがおきて、
男の子h(((キーンコーンカーンコーン
閉庁時間30分前の予鈴が鳴ってしまった。
本に栞を挟んで、カバンにしまい、
帰る支度を済ませる。
席を立ち、右を向くと、
「すぅ....すぅ....」
と、規則正しい寝息を立てている真冬。
寝ている真冬は、
寝顔と思えないくらい綺麗で、
ちょっと羨ましい。
サラサラな髪に、鼻筋の通った顔、
真っ白な肌。
「私は、真冬の隣にいていいのかな」
自信のない声は彼に届くはずがない。
こんな事、真冬の前では絶対言わないけど。
今の私は少し悩んでいた。
「真冬、真冬、起きて」
軽く肩を揺すってみても起きない。
「真冬〜、お〜き〜て〜！」
今度は強く肩を揺すってみた。
「んぅ....ん...」
あ、もう少しで起きそう。
「真冬！起きて！」
今度は耳を引っ張りながら、声をかける。
「...！いたいいたい、後近い、てぇ...」
やっと起きた真冬は大きな欠伸をしながら、
背伸びをした。
「めっちゃ...体...痛いぃ....」
『そりゃ4時間その状態なんだからしょうがないよ』
「もう...うごけない...！」
「じゃあ学校に泊まってください」
「やだから待って！！」
「もう、早く行くよほんとに閉まっちゃう」
真冬はまだ伏せ目な瞼を擦りながら、
一緒に帰路についた。
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作者名：かなうさぎ。 | 作成日時：2021年8月11日 1時
