Osmanthus of smell【JN】 (ページ6)

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その日の講義は少し退屈だった。

退屈と言うよりは集中できなかった。

まだ酔いが覚めてないのか、昨日の夜の僅かな記憶を思い出しては顔を熱くさせる。

ノートを取るがあまり捗らず溜息をついた時隣に誰かが座った。

「おはよ」

これは。驚いた。

昨日の彼だ。

初めて会った時に見たあの笑顔で笑った彼を見てさらに顔が熱くなった。

「もう酔い覚めた？」

私の記憶がただの思い違いだったのかと思うほど彼は優しくて、平然としていた。

「あの、昨日って…もしかして…」

私が口を開くと、ん？と首を傾げたがすぐに何のことかわかったのか薄く笑った。

「あぁ、寝たよ」

どうしてそんなに普通なのか。

本当に申し訳なさと恥ずかしさでいっぱいになる。

「ほんとに…なんて謝ればいいのか、」

「いやいや、俺前からAさんのこと好きだったから」

彼は楽観的にニコニコとして爆弾発言を投入してきた。

「…あの、私名前教えてないですよね」

「好きな子の名前知ってたらダメなの？」

私はあなたのこと何も知らないのに。

「私はあなたの名前知りません」

そう言うと彼の顔が一瞬曇った。

悲しそうで、また消えてしまいそうだ。

「僕は……ソジンだよ。」

どうしてそんなにも悲しそうに笑うのかな。