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※暴力表現含みます。苦手な方は注意してください。
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彼は私のアパートの前で止まって、手首を掴んだまま中に入ろうとして引っ張る。
「…やめて、」
怖くて声が出なかったけどやっと出た声はか細くて、誰にも聞こえないそんな声だった。
相手が男性だから力の差もかなりあって、抵抗できなくて生理的に涙が溢れ出す。
「…はっ、香水も変えやがって、別に男でもいるんだろ？なんだよこの匂い！」
「…離してよ、」
私が出す声は全部全部か細くて。
部屋の玄関まで来て鍵をカバンから取られて、開けられた。
怖い、何も抵抗出来ない、悔しい。
中に押し入られると右頬に平手打ちをされて、ジンジンと頬が傷んだ。
そのうち両手首を壁に抑えつけられ、無理やりキスをされそうになるが、歯を食いしばって首を振ってはなれようとする。
どうして、私がこんな目に遭わなきゃいけないのか。
考えれば考えるほど悔しくて涙が止まらない。
「他に男がいるなら、汚して返してやるよ」
そう言われて彼が私の服に手をかけたとき___
玄関がガチャ、と開いて
「警察、呼びますよ。早くここから出ていかないと。」
ソジンさんが立っていた。
息を切らしながら警察の番号を見せつける。
チッ、と言って彼は私から手を離して出ていった。
一気に身体の力が抜けて、その場にへたり込む。
右頬がズキズキと痛んで、我慢しても涙が溢れる。
まだ心臓が大きな音を立てている。
「…たまたま近くを通ったら、Aが襲われてるのが見えて…」
助けるのが遅くなってごめん、と申し訳なさそうに謝る彼に胸が痛んだ。
ソジンさんのせいじゃないのに、あのまま来てくれなかったら私は取り返しのつかないことになっていたかもしれない。
何も言えず黙るしかなかった。
「…A」
私に触れようとする彼の手を怖くて振り払ってしまった。
「…今、酷い顔してるから、」
口の中に血の味が広がる。
叩かれた時に口の中が切れたのだろう。
「唇が切れてるし、頬が腫れてるから冷やさないと。大丈夫だから、こっちおいで」
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作者名：彩心 | 作成日時：2020年10月22日 20時
