Osmanthus of smell【JN】 (ページ3)

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少しだけ、早く食べて帰ろう。

そう思っていたが、お酒を飲むとそういう訳にも行かなかった。

あまりお酒に強くなかったのに勢いに任せて飲んで

ふわふわとした気分であまり動きたくない。

「結構飲んだね。なんかあったの？」

「…最近彼氏と別れちゃって」

大学に入ってから出来た彼氏。

つい先日、もう好きかどうか分からないと告げられて終わりを迎えた。

私が何かしたのかな、あまり気にしていない素振りを見せていたけどやっぱり心の底は気にしてて。

お酒が入ると歯止めが効かなくなってしまったのか悔しさと悲しさで涙が溢れそうだった。

「大変だったね」

そう言って彼は大きな手で私の頭を撫でた。

その大きな手の暖かさと優しさで、我慢しきれず涙が零れた。

「…ごめんなさい」

初対面の人なのに泣き上戸と思われたらどうしよう。

と気にはするものの、やっぱり止まらなかった。

「辛い時は泣くもんだよ」

彼はまた優しかった。

その優しさに甘えきって、私はグラスに入った残りのお酒を飲み干した。

__

もう何時間泣いたか分からないけど、たくさん彼の前で泣き明かした。

「もう帰らないと」

彼の一言で少し酔いが覚めた。

「…すみません、ありがとうございました」

と席を立ち、帰ろうとすると手首を掴まれ引っ張られる。

「もう遅いんだから送るよ」

「…大丈夫ですよ、歩けるんで」

少し足元がふらつくけど別に帰れない訳ではない。

「家どの辺？」

あれこの人あんまり人の話聞かないのかな

「ほんとに、大丈夫…」

「ほら、行くよ～」

彼は時にすごく強引だ。

すごく。