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午前の講義が終わって、友人と昼食を食べていた時だった。
いつも通り当たり障りのない話をしていたが何かの流れで最近の恋愛事情の話になった。
「Aはあの人と別れてからどうなの？」
秋の初めに付き合っていた人と別れた私を探るように問う友人は何か新しいことが聞きたいようだ。
「あの、さ…ソジンって人知ってる？」
「誰、それ？うちの学部？」
「そうなのかな、知らなかったらいいの」
気になるじゃん、と笑った友人を躱すように私は自動販売機で買った暖かいココアを1口飲んだ。
「…あのね、お酒の勢いで…、」
そこまで言うと友人は驚いたように目を見開く。
「ちょっと待って、何してるの」
「ほんと、何してるのかな」
「朝は？隣にいたのその人」
「ううん、ベッドまで運んで着替えさせてくれたみたいで、メモ残して…」
今まで恋愛経験が少なかった私はその場のノリで、とかお酒の勢いで、とかはしたことなくて。
「それ、やり捨てじゃん」
彼のその行動がまさかそういう風に世間から言われるなんて思わなくて言葉が出なかった。
私、捨てられたの？
「それって、だめなの？」
「そーいう男とは関わらない！もう、Aってほんとに疎いんだから気を付けないと！」
だからすぐに別れるんだよ、と小言を吐き出す友人に返す言葉もなかった。
「…もう関わらないのは、できないかな、」
「なんでよ？付き合わないなら、辛くなるのはA自身だよ？」
「…うん、でもね、」
何しててもソジンさんの顔が頭から離れないの。
その言葉は声には出なかった。
声に出したら自分の気持ちがちゃんと明白になりそうで。
「…でも？なに？」
「…今は友達として上手くやってるから大丈夫だよ」
私は認めたくなかったのかもしれない。
もう一口飲んだココアはもう冷めきっていた。
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作者名：彩心 | 作成日時：2020年10月22日 20時
