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あの日、傑君は任務先の村人、家族を殺害したとのことで、呪術規定に則り呪詛師として追われる身になった。
お兄ちゃんから聞かされたことを受け入れるのに時間が、いや、納得も理解も、現実の受容もできていなかった。
私が出来ることは何もなかった。異変に気付いていたはずなのに周囲に伝えることもできたはずなのに、私は何もしなかったことを自分をときかく責めた。
しばらくは食事も喉を通らずずいぶん体力も落ちてしまった。そんなある日、お兄ちゃんが硝子ちゃんから連絡を受けた。新宿で傑君を見つけたらしい。お兄ちゃんと一緒に新宿で傑君を探しに行った。
人ごみの対抗から傑君が歩いてくる。
五条「説明しろ、傑。」
夏油「硝子から聞いただろう？それ以上でもそれ以下でもないさ。」
五条「だから術師以外を殺すってか！？親も！？」
そこからは二人の言い合いで私は口を挟めなかった。
「親だけ特別という訳にはいかないだろ。それにもう私の家族はあの人だけじゃない。」
「んなこと聞いてねぇ。意味ないころしはしねぇんじゃなかったのか！？」
「意味はある。意義もね。大儀ですらある。」
「ねぇよ！！非術師だけの世界を作る！？無理に決まってんだろ！！できもしねぇことをセコセコやんのを意味ねぇっつーんだよ！！」
「傲慢だな」
「あ"？」
「君になら出来るだろ。悟。」
そう言った傑君に確信を持った。親友のお兄ちゃんがこれだけ言ってもこう返すってことは、傑君はもう生き方を決めてしまったんだと。決意した人間の“目”は同じだから。よく知っている。
夏油「自分にできることを他人には「できやしない」と言い聞かせるのか？
君は五条悟だから最強なのか、最強だから五条悟なのか？」
五条「何が言いてえんだよ。」
夏油「もし私が君になれるのなら、この馬鹿げた理想も地に足が着くと思わないか？生き方は決めた。後は自分に出来ることを精一杯やるさ。」
お兄ちゃんが構えたが攻撃なんてできない。
夏油「ころしたければころせ。それには意味がある。」
『...傑君。』
夏油「...A。君は、私のようになってはいけないよ。」
傑君はそのまま人ごみに消えた。私もお兄ちゃんも何もできず、暫くはその場に立ち尽くしたままだった。
「先生、俺強いよね？」
「ああ。生意気にもな。」
「でも俺だけ強くても駄目らしいよ。
俺が救えるのは他人に救われる準備がある奴だけだ。」
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作者名：はなな | 作成日時：2021年12月26日 0時
