138。天霊の前日 ページ5
ついにやってくる。明日、体育祭が。
「ぜーったい見にいくからね！」
「おー、来い来い」
「ひとしくんも、おうえんするね！」
「サンキュ」
夕方。
現在、自分の家に、人使、そして出声家の人が来ている。
……出声意音というちびっこのことを覚えている人はいるだろうか。近所に住む小学1年生である。
「たのしみにしてるね！」
そう、無邪気に笑う少年は、とても愛らしい。
そんな彼の母親は、ニコニコと笑って自分たちを見る。
「私も、意音と応援にいくわね。二人とも頑張って！それじゃあ、ごめんなさいね、時間とらせちゃって」
「いえ。わざわざありがとうございました」
「輪廻はわかるけど、俺まで……ありがとうございます」
「ふふ。じゃあ、明日ね」
「ばいばーい！！」
そうして、出声家の人は帰っていった。
途端、しん……と家の中が静まり返る。
玄関にポツンと立っている自分たちは、ふとお互い顔を見合せ、すぐに正面を向く。
「……明日、だな」
「そうだな。……人使なら、できるよ。人使は、ヒーローになれる」
「うん。俺は、絶対にヒーローになる」
「自分も。だから……」
「「負けない！！」」
受験の前にも、こんなやり取りをした気がする。
その時からずっと変わらない、自分たちの目標、夢。
いつかきっと、なってみせる。
「じゃあ、明日、戦場で」
「ああ」
まあ、登校の時会うけど、と笑いあう。
その後外に出ると、町が真っ赤な夕日に染まっていた。
じゃあなと手を降り、人使を見送る。
しばらくし、影が見えなくなると、自分は家に入っていった。
＊
＊
＊
「……未来は自分の手で」
畳の上に寝転がり、天井を見上げながらぼやく。
この世界は、自分の知っているアニメの世界じゃない。自分のいる、自分の世界なのだ。
自由に未来を描くのは、悪いことだろうか。
『天霊さん』
ふわりと近づいてきた筒木が、不意に話しかけてくる。
『明日、頑張ってね』
「ああ」
彼の言葉に、そう短く返すと、彼はふふっと笑って、すぅ……っと飛んで消えていってしまった。
＊
その日、晩飯は、天丼だった。
カツ丼じゃないんだ……なんて思ったり。
だがまあ、美味しいので、全く問題なしである。
＊
＊
＊
その夜、天霊家の家の外。
闇に紛れた黒い影が、一つ。
ふっと笑みを浮かべ、小さな声でつぶやく。
＿＿＿＿楽しみにしてるよ、君がどう動くのか。
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藤海 - 小宮瑠璃さん» コメントありがとうございます！お待たせしてしまい申し訳ございません…！生きております！どストライク嬉しいです！時間を作って更新して行けたらと思っておりますm(_ _)m (2022年6月28日 14時) (
レス) id: 0b17918c57 (このIDを非表示/違反報告)
藤海 - 春風駘蕩さん» コメントありがとうございます！そうなんですね！なんて偶然！ (2022年6月28日 14時) (レス) id: 0b17918c57 (このIDを非表示/違反報告)
藤海 - 猫夜桜((シラキさん» コメントありがとうございます！大変長らくお待たせいたしました…！お気に入りと言っていただけて嬉しいです… (2022年6月28日 14時) (レス) id: 0b17918c57 (このIDを非表示/違反報告)
小宮瑠璃 - もう更新しないのでしょうか…？自分めちゃくちゃ楽しみなんですが…てかそもそも生きてますk(((( 凄い好みにどストライクでした！！続き楽しみにしてます！！ (2022年4月3日 21時) (レス) @page18 id: dbce0c6b80 (このIDを非表示/違反報告)
春風駘蕩(プロフ) - 夢主ちゃんと誕生日が近いです1日違い、よっしゃああああああああ！！！ (2022年2月21日 16時) (レス) @page18 id: 34351208ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤海 | 作成日時：2018年2月14日 11時
