32。モブの目 ページ34
楽しい時間は過ぎるのが早く感じる、とはよく言ったものだ。そのとおりである。
環さんと話すのが楽しく、つい長居してしまった。
時刻はもう1時をまわり、来た時から3時間以上も経っていた。
(……話しすぎた…)
時計をチラッと見る動作をすると、それを見た環さんはハッとした様子でこちらを見てきた。
「ご、ごめん…！こんな話すつもりは…！」
「こちらこそすみません、すぐ帰るつもりが…」
お互いに同じようなことを言ったあと、何がおかしかったのか、自分でもよくわからないまま、二人で笑いあった。
「…じゃあ、そろそろ帰りますね。名残惜しいですけど」
「お、俺も…。……人とこんなに長く話すことがあるなんて…思ってもなかった…。それもこんなに楽しく…」
「そうですね。自分も、環さんがこんなにしゃべってくれるとは思ってませんでした」
そう言うと、彼は苦笑し頭をかいた。
そして
「あ、あの…っ！…もう、いいよ…ジャガイモじゃなくても…大丈夫…」
「！…了解です！」
そこで自分は幻術を解き、実体化し、ふう、っと息をつく。
ずっと、幻術をかけながら半透明の幽体化をしていたので、少々疲れた。
…半透明状態でないと話せないのだ。
(…トレーニング量、増やそう)
と、ちょっと思った。
「…………」
「………？」
…"個性"を解除してから、環さんの様子がおかしい。
じっ…っとこちらを見つめている。
ジャガイモパワーが消えた今、うつむいていてもおかしくない、というかむしろそっちの反応をするのが普通だと思うのだが、彼はそうはせずに、放心状態のような感じでこちらを見ているのだ。
眉をひそめて見つめ返すと、彼はハッとしたようにうつむいた。
(…やはり人間の姿はダメなのだろうか)
と思った瞬間
「………綺麗…」
「…………は…？」
「…あ、えと…、輪廻さんの、目…綺麗だなって…思って…」
「え？目？え？」
頭の中で疑問符が飛び交う。が、しばらくして、理解する。環さんは、自分の目を見て、綺麗だと感じてくれたのだ。きちんと、目を見てくれたのだ。
「あ、ありがとうございます…」
「あ、あああ！ちょ、今の、忘れて…！なに恥ずかしいこと言ってんの俺…？！…どうしようヘンタイだと思われたかも…」
「いやいやいや！そんなはずないでしょう！？ほめられたのにヘンタイって！」
そんなことあるだろうか。
(……いや、あったわ…)
参照、寧人。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 666人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒弧(プロフ) - 正直なこと言いますね←なんでこんなに面白いんですか？あと、、、、、ごめん人使、夢主、ちょっとひらがな見ずらい← (2022年9月9日 6時) (
レス) @page10 id: 4b13e88e37 (このIDを非表示/違反報告)
エレン - イナホちゃん！アニメひとつだけ見逃したー！！ｼｮｯｸ (2019年1月1日 2時) (レス) id: 9cf5f7dc68 (このIDを非表示/違反報告)
藤海 - 舞さん» コメントありがとうございます！そうです！妖怪ウォッチです！イナホです！！ (2018年10月9日 9時) (レス) id: b9bf9ff02c (このIDを非表示/違反報告)
舞 - あ、あの、違ったなら教えて下さい。すみませんでした。 (2018年6月11日 2時) (レス) id: 890a34d967 (このIDを非表示/違反報告)
舞 - あの、KYだと思うんですが、言わせて下さい。「ちわっち」ってもしかして、妖怪ウォッチから来てますか？ (2018年6月11日 2時) (レス) id: 890a34d967 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藤海 | 作成日時：2017年8月17日 16時
