【超特急】君に恋をした、3秒前。 (ページ1)

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君に恋をしたのは、大学終わりの夏のじめじめとした夕方だった。

今でも脳裏にこびりついている。

・

ザァーザァーとひっきりなしに音を立てて降る雨。

僕は大学から最寄りまでの小道を歩いていた。

慌ててリュックに入れておいた折り畳み傘をガサゴソと取り出す。

朝、僕が玄関で靴を履いていると廊下から顔を出したお母さんが、

今日は雨が降るかもしれないから折り畳み傘持って行きなさい

と言っていた。

・

お母さんの言うこと聞いといて良かった…まさか本当に降るなんて、、、

・

大空を見上げると、暗い雨雲が先まで続いてるのが見える。

これは夜中まで続きそうな雨だな。

僕は雨は好きじゃない。

転びやすいし、何より気分があまり良く乗らないから。

ハンカチをリュックのサイドポケットから取り出し、腕に降り落ちた雨粒を拭き取る。

・

？？「……っ！……、…って…じゃん！…ごめ…さい、！」

？

遠くの方から聞こえる、女性の声が聞こえた。

雨音でよく聞こえない。

が、何か口論をしているのは女性の声調からして読み取れる。

少し歩くと、

あ…見えた…。

さっきの声と思われる女性と、もう１人…男性？

2人とも傘を差していない。

？？「…から、…ってんだろ！！」

ドガッ

・

うわ、逆修羅場！！

男性が女性に怒鳴ったと思ったら、勢いよく男性の手は女性の顔を殴っていた。

すると男性は、まるで捨て台詞かのように「じゃあな」と言って。

尻もちをついている女性を路上に置き去りにして、足早に去っていった。

・

僕は、お母さんに持たされた小さな折り畳み傘を、その小さな体の女性へと背後から差し出す。

僕「あの、大丈夫ですか？」

蚊の鳴くような声で、君は小さな声を漏らした。

「あ、…ゆーすけくん、」

・

この時を振り返ればお母さんに感謝だなって思う。

折り畳み傘を持って行かなかったら、彼女に出会えなかったんだもん。

でもまさか…

僕があんなことやこんなことで、彼女を自分のものにするまで苦労するとは思わなかったなぁ。

え、？

どんな苦労かは、

これからのお楽しみ。

だよ？

僕は彼女に、"ヒトメボレ"をした。

(君に恋をした、3秒前。)