藤 井 さ ん の ペ ッ ト

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「 ……で、逃げ出して来たわけね 」



『 すみません… 』







ガタガタと震える手を必死になだめ
出されたココアの入ったマグカップを
ゆっくり口に運ぶ。



「 Aちゃんも、なかなかの闇やなー 」



私が必死の思いで連絡したのは
藤井さんではなく、

……望さんだった。







「 流星には？…ちゃんと連絡したん？ 」



その言葉に
私が首を横に振ると
「 そっか 」とだけ言って
私の頭にポンッと
優しく手を置いた望さん。



「 今日はどうする？…まぁ、俺はかわいい子が泊まんのは大歓迎やけど 」



私の恐怖心を
和らげようとしてくれているのか
そう言って
望さんは楽しそうに笑った。



『 …ご迷惑じゃ……ないでしょうか？ 』



望さんが肩にかけてくれた
ふわふわのブランケットから
望さんの顔色を伺えば
「 迷惑や 」と言って
また楽しそうに笑ってくれる望さん。



「 まぁ、保護者になるって言ったのは俺やし 」



そうして
小柄な私には
かなりのオーバーサイズなパーカーを差し出し
「 シャワー浴びてき？ 」と
優しく声をかけてくれた望さんは
スマホを持って立ち上がった。



「 流星には、俺から話しとく 」



そう言って
望さんは再び私の頭をなで
「 大丈夫やって 」と
ベランダへと出て行った。




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