飛花落葉のように。【原神】 (ページ41)

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夜明けの日＿1 ページ41

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──それは怒涛の出来事であった

「帝君が殺害された！この場を封鎖しろ！」

玉京台に天権凝光の鋭い声が響き渡る。民衆のどよめきと、それらを牽制する千岩軍の慌ただしい足音。その場は混乱に満ちていた

唖然とした空は、指示を出す天権の後ろに見える巨体を観察するように見つめた。龍であろう姿をしたそれが力無くくたりと横たわる様に生気は無い

──どういうことだ？何が起きている？

天権の言葉から始まった儀式は順調なように見えた。──天空に暗雲が渦巻くまでは。
空から落ちてきたそれは、けたたましい音を立て地に叩きつけられ、今やこのような有様。全くわけがわからない。ただひとつ、わかるのは……この状況が璃月側にとっても非常事態だということ

……ああ、まずい。混乱の収まらぬ頭を動かして周囲を見渡した。そこでひとりの少女が視界に留まる。ざわめく民衆の影、その隙間から辛うじて見える細身は、何かを品定めするように口元に手を添えてその場に立っていた

近くにいれば「ふーん」と声が聞こえてきそうな態度。しかし龍を見るその目はつまらぬ観劇を眺めるように冷ややかで、この場には不釣り合いな冷静さだ

──そして彼女の口がゆっくりと、小さく弧を描いた。嘲笑するようなそれに空は眉を顰める
なんだ、あの子は。明らかに他とは違うあの様子、きっと、何かを知っている

ほぼ反射的にそちらへ向かおうとした足が一歩を踏み出す前に「旅人っ」と潜めたパイモンの声がした。余所者である自分達は真っ先に千岩軍から疑われてしまうという彼女の言い分を聞いて、ひとまずここを離れようと話す

兵達の目を掻い潜り儀式会場を離れるより前に空がもう一度と後ろを振り返れば、先程までそこに居たはずの少女は、すでに消えていた

それは夏の蜃気楼、あるいは夢幻を見たようだった