飛花落葉のように。【原神】 (ページ4)

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「まてまて、槍が得意？」

「うん？そうだね」

「剣の才も充分だってのに、槍まで出来るのか」

「やってみれば出来るものだよ」

そうは思えないが、とガイアは手で口元を覆い呟いた。刃に息を吹きかけ、未だマイペースに刀を磨き続ける少女をそっと細めた目で品定めするように見つめる

槍は、扱うだけならとりわけ簡単であった。だからこそモンドの旧貴族時代では、少しの練習で扱える槍を平民が持ち反乱の道具へと使われることを恐れ、槍の使用は禁止された。昔の話ではあり騎士団でも西風長槍が普及しているが、モンドで長柄武器を見ることは少ない

反対に璃月では岩王帝君が使った武器として人気が高く、単純にお国柄というものもあるのだろう

そして、使いやすいとはいえ少女や彼女の旧友ほどの腕になるには人間の生だけでは足りない。それとこれでは話が別なのである

ひと通り磨いた彼女は、困ったように眉を下げた

「そんなに見られては穴が空く」

「あぁ悪い、どうしたらお前を騎士団に入団させられるかと思ってな。…入る気はないか？」

ガイアの問いかけに、あぁそれは…とジンが肩を竦める。優秀な人材を見つければ考えることは同じらしいが、それこそ手合わせを始めた頃にジンは彼女を口説いていた。あなた程の腕、騎士団にいてくれたらなんと頼もしいことかと。そして彼女は決まって返すのだ

「組織に所属する気はないよ」

今回も同じだ。少し微笑んですらいる様子に、これは手強そうだとガイアは察する。それは残念だ、と降参するように軽く手を上げてみせるのだ

「それで？いつも真剣を使ってるのか？木剣を使えばいいだろ」

「それは私も思っているが…」

何故？と二人してこちらを見るものだから、少女は「ええ？」と首を傾げた。何故と言われても、此方こそ聞きたい。何故それを使いたがるのか

「実践は真剣なのだから、木剣での手合わせに意味はないだろう」

答えを聞いて、やはりとジンは頷く。少女はいつもそうだった。いつも実践を想定した戦い方をする。口にこそしないが、ジンは手合わせの度に今度こそ首を掻き切られるのではと思って終わる。彼女にその気はないと分かっていても、手合わせにおいての立ち振る舞いが、彼女のその経験を物語っている気がしてならなかった