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「そこまでだ」
目前に、一筋の剣先が差し込まれる。その先には異国風の褐色肌の美形_ガイアが立っていた
眉を顰めている彼は、ピタリと動きを止めた少女に安堵したようで表情を緩めるも、「おお。」といかにも驚きましたよといった反応をした彼女に今度は薄ら笑いを返した
「まさか、とどめを刺すつもりじゃなかっただろうな?」
「いやまさか。寸止めするつもりだったさ」
「…ならいいが」
「ええ、疑うの?やりすぎたかなぁ」
からりと笑ってジンに手を差し出し体を起こしてやる。ひと息ついた彼女は、そんなことは無いと笑ってくれた。しかしすぐに「仕事はどうしたんだ」とガイアを睨みつけ、今度は彼が休憩中だと弁解する
ガイアは二人の出会い、その馴れ初めこそ知らないものの、ジンの息抜きとして_休ませたいリサが諮っているようだが_何度か剣を打ち合う様子を目にした事があった。そうして決まって、ジンが負けていることも
ただの少女に代理団長が?有り得ない。ジンの実力は彼もよく知るところ、ガイアには到底納得できなかった
今日ふたりを目にした時も面白いものが見れるだろうと降りてきたのに、いざ顔を出せば見えたのは、汗をかくジンと風貌の乱れぬ少女。我らが代理団長さまはあわや殺されそうな始末
ひやりとしたものを感じて慌てて剣を取り出したのだ
「はぁ、また負けてしまったな。代理団長だというのに…」
「いや?私も動きを読まれるようになってしまったよ」
「本気を出していないのだろう?」
「それは互様だ。君も神の目を使ってない」
先程から剣をくるりと回したり見つめたりして、手入れが必要か定めているらしい少女の言い分にジンは言い淀む。負けているといっても、神の目を持たぬ彼女に元素力まで使うのか。それには気乗りしなかった
「しかし驚いたな、お前にそこまで剣の腕があったとは」
「この際だから言っておくけれど、私は片手剣より槍が得意だ」
えっ、と重なった二人の声は気に止めず手拭いを取り出し刃を拭く。もうひとつこの際だからと、私の得物は稲妻の刀というもので剣とはまた違う事も言ってしまおうかと思ったが、まあいいかと口を閉じる
得物のことなど、己が理解していればそれでいいのだ
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藤宮(プロフ) - ルアンさん» コメントありがとうございます。この小説をとうぞよろしくお願いします (1月17日 0時) (レス) @page48 id: 75e16aadd4 (このIDを非表示/違反報告)
ルアン(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです😭💘 (1月14日 14時) (レス) id: 964364b64c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2022年12月29日 5時