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なにを、とその心中は言葉に成らず、先に口を開いたのは彼女の方だった。手を引かれて驚く男をにやりと笑った彼女の
「これを、毒草と言いましたよね」
「いいましたけど、ていうか、ちか」
「これは
「───は」
呆けた声が出た。そんなはずはないと鉢に目を向けて、絶句する。その葉は、
そんな、と声が落ちる
Aはクルーウェルとの会話を思い出していた。この薬草の作用について聞かれたときの、己の回答の一部を
──それからもうひとつ良く似た形の植物があって、そっちは全体に毒性が強いので見分けるコツが必要です
あぁ本当、己はよくぞ知っていたものだと賞賛したくなる。鉢を奪い取ったとき、彼ははじめにこれを毒草と言った
──植物は所詮、植物ですが。この名門校で育てられたというだけでも価値はあるというもの。そしてこれは
その言葉を聞いたときに、はたと思い至ったのだ。彼は思い違いをしていると。だってこの葉は
「私とやっと話すことができて、どうやら舞い上がってしまったようですね？葉の一枚すら確認しないとは。それとも、見分け方は知らなかった？」
───そんなはずないだろう！！
彼は思わず叫びたくなった
先程使った己の構文を煽りのように真似された挙句、見分け方を知らなかったのだと？ 僕が一年のときにあの百種類の植物たちの名前と特徴と、作用を覚えるのにどれだけ努力したか！ よりにもよってそれを！ 見落とすなんて！
くそっと舌打ちを落としそうになって、その情動を理性で押さえつける。深く呼吸をして心を落ち着かせ、そして、楽しそうな彼女を見た。己の手を掴んだ片手と、ぎゅっと懸命に植木鉢を抱える片手を
ふっ、と。今度は彼の笑う番だった
「一度言ったはずですが。無理に片手で抱えるなんて、意地を張るべきではありませんよ」
彼女がわざわざ己の言葉を真似てやるというなら、こちらも同じこと
楽しげだった顔がつまらなそうに歪んだ。その変化に気分が良くなって笑みを深める
彼は己の手を掴んでいた方の、力の緩んだその白魚のような手を掬いとって、鉢の方への添わせてやった
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藤宮(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます〜！この小説をどうぞよろしくお願いします！ (8月17日 23時) (
レス) id: 70681114dc (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (8月12日 0時) (レス) @page25 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 晏昊さん» ありがとうございます。長らくお待たせしましたが亀更新で頑張ります〜！ (2023年3月6日 0時) (レス) @page21 id: 73feed36fe (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - 好きすぎて一気見しちゃいましたw続きがすごく気になります！頑張ってください！待ってま〜す!!! (2022年5月3日 1時) (レス) @page21 id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤宮 | 作成日時：2022年1月5日 2時
