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「貴女が、言って。皆さんが信じると？」
「信じる信じないの話ではありません」
Aは緩くかぶりを振る。はっ、と。男は嘲笑するような声で笑った。笑いというよりも、ただ有り得ない衝撃に息が零れただけのようでもあった
「信仰の象徴である、貴女の言葉とは思えませんね」
「ここでのことを証明するものは何もないと言ったのはあなたです」
それ即ち、男のAへの脅しは証明されない。Aの男への発言もまた、証明できはしない。ここに聞く人間はいない。記録する物はない。残るのは、二人の記憶の内だけだ
でも彼女は言えばいい。言えばいいのだ。己ではない。そう一言だけ、言えばいい
「あなたが知らぬ存ぜぬを突き通しても、私はあなたがやったと言います。それを証明するものがなくとも、あなたと私の意見が対立した。それだけでいいんです」
──それだけであなたは、神の子と、私を信じる者達、延いては国と対立することになる
はっと彼は息を呑んだ。あれ？ とわざとらしく彼女は首を傾げる
「驚いてます？
もはや男に反論の余地はなかった。主導権を握られたどころの話ではない。これは、今度はこちらが、脅されているのだ
してやられたと彼はぐっと瞳を歪める。スカイブルーが曇るさまを見てAはゆるりと口角を上げた
「でも大丈夫です。あなたが咎めを受けることはありません」
「……なぜです？」
「お互い散々言ったでしょう。証明するものはないって」
はっきりとせぬ物言いに男は未だ言葉の意味に辿り着かぬようであった。彼女はひとつ、はぁと溜息を吐く
「学園は私……いえ、私たちとの対立を避けるために、事態を曖昧に終わらせるでしょう」
証明するものはない。犯人も原因も分からない。けれど意見は対立している
この場合、管理の怠慢として責任の矛先は教師であるクルーウェルに向くだろうが、彼女はそうはさせない。悪いのは彼である、責任は彼に負わせる以外ないと言ってしまえば学園はそれを無視できない。しかし彼が犯人と証明するものは無い。ならば誰にも責任を問わずあやふやにするしかないだろう
「この件は忘れましょうってね」
─愛し子の慈悲で、お許しください
それは想像に容易いことだった
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藤宮(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます〜！この小説をどうぞよろしくお願いします！ (8月17日 23時) (
レス) id: 70681114dc (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (8月12日 0時) (レス) @page25 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 晏昊さん» ありがとうございます。長らくお待たせしましたが亀更新で頑張ります〜！ (2023年3月6日 0時) (レス) @page21 id: 73feed36fe (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - 好きすぎて一気見しちゃいましたw続きがすごく気になります！頑張ってください！待ってま〜す!!! (2022年5月3日 1時) (レス) @page21 id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤宮 | 作成日時：2022年1月5日 2時
