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「A！」
名を呼ぶ声と共に視界が切り替わる。Aを覗き込むようにして、カリムのガーネットレッドの瞳がゆるりと弧を描いていた。ジャミルとの会話で少し物思いに耽っていた彼女は、取り繕うように「なに？」と努めて明るい声を出す
「今日は月がきれいなんだ。外まで見に行かないか？」
「月？」
そうなんだと外に目を向けてみるがここからでは上手く見えない。だから外に、と。こんな夜に外を出歩けば暗殺してくれと言ってるようなものだろうに…とも思ったが、ここは名門校の寮内だったことを思い出す
「いいんじゃないか？行ってきたらどうだ」
「な？ジャミルもこう言ってるし…」
「……そうだね。見に行こうかな」
カリムは嬉しそうに笑ってAの手を引いた。彼女はその傍らで軽く振り返ってジャミルを見る。しかし一度彼との溝に気付いてしまった彼女には、微笑んで見送る彼が何を考えているのか、まるで分かりはしなかった
「＿＿A、こっちだ」
けして離さず、されど限りなく優しく手を掴んで前を行く彼の背を見上げる。十年前の面影はあれど、ずっと成長した背中。その中身は昔と変わらず眩しいほどに真っ直ぐだ
「カリムくんは、ジャミルくんのことどう思ってるの？」
脈略の無い質問にカリムは後ろを振り返った。暗がりでAの表情は見えない。けれども彼は丸い目を瞬かせて、綻ぶような笑顔を見せた
「もちろん、親友だぜ！」
＿＿＿やっぱり、そうなんだ
呟いた彼女の声は、カリムが部屋の扉を開ける音によって届く事はなかった
入ったそこは、金製品や宝石がゴロゴロと積まれた場所であった。ここは？と問いかける
「物置なんだけど……あれ？どこ行った？」
「物置？宝物庫じゃなくて？」
冗談でしょと返した彼女の背に、何かがぶつかった。振り向けばそこにあったのは宙に浮く絨毯＿＿いや、彼女の記憶通りならただの絨毯ではない。まさか＿
「お、いたのか！A、覚えてるか？」
「魔法の絨毯、の…レプリカ？」
「あぁ！」
やはり！と彼女は明るい顔をした。またこんな珍しい品を見れるとは。そう感動して伸ばした手に絨毯は擦り寄るようにしている
「こいつ、Aに懐いてたから、覚えてて良かった」
カリムは彼女と絨毯を交互に見て、安心したように笑っていた
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藤宮(プロフ) - 紅さん» ありがとうございます〜！この小説をどうぞよろしくお願いします！ (8月17日 23時) (
レス) id: 70681114dc (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (8月12日 0時) (レス) @page25 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 晏昊さん» ありがとうございます。長らくお待たせしましたが亀更新で頑張ります〜！ (2023年3月6日 0時) (レス) @page21 id: 73feed36fe (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - 好きすぎて一気見しちゃいましたw続きがすごく気になります！頑張ってください！待ってま〜す!!! (2022年5月3日 1時) (レス) @page21 id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤宮 | 作成日時：2022年1月5日 2時
