42・仲良くなるには ページ47
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「さて。用事も済んだし、Aは帰ろうか」
『え、終わり?』
腰に手を当てて言う悟に、まだ何もしてないけど…と返す。
実のところ、「見て欲しい子がいるから高専に来てくれ」としか言われてなかった為、何をしたらいいのかは分かってなかった。
本当にこれだけでいいのかな。
「いいの。僕の確かめたいことは分かったし」
『……ふーん…そっか』
確かめたいこと、ねぇ。
_ぜーったい僕のことだよ_
何を考えてるのか分からないような、底知れぬ笑みで悟が言った言葉を心の中で反芻する私に、景は言う。そうかもね、と苦笑いした。
_アイツはAを疑ってるんだよ。悲しいね_
そんなことないよ、と景に返す。
疑ってるのは事実かもしれない。けど今までは黙っていてくれたから、それだけで嬉しいものだ。だって本当は、秘匿死刑になってても可笑しくないでしょ。
だから、悲しくはないよ。
それを聞いて、景がつまらなそうにしたのを感じた。
(なーんか、言い方からして悟のこと嫌いなのかな)
まぁ景が人を嫌うのはよくある事だからいいんだけど。
『じゃあ、御役御免ということで私は帰りますけど…色々と頑張って下さいね』
生きてれば何とかなりますと乙骨さんに笑えば、彼は戸惑い気味に頷く。
楽観的過ぎる言葉かもしれないが、きっと彼は溜め込むタイプだろうからこれでいい。と、思う。
(ま、里香ちゃんが死なせないか)
そうして、途中まで送ってくれるという悟と共に部屋を出た。
「憂太はどんな感じ?」
『頑張ればなんとかなる。でも、里香ちゃんはひと工夫要りそう』
部屋を出て直ぐに目隠しを取った悟が私に聞いたので、巻き直すの大変じゃない?と思いながら返す。仲良くなるにはどうしたらいいって話でしょ、え?違う?…違った呪いの話だって。
『呪いは簡単に解けないよ。呪われた側にはね』
気持ちを切り替えて笑えば、悟はその答えに口角を上げた。至極、楽しそうな顔だ。
「あとは憂太の頑張り次第か」
『高専に入れるの?』
「明日からね。今から説得しに行くよ」
忙しいね、悟は。頑張れーと適当に笑う私に、悟はなんだか嬉しそうにその空色を緩めた。
(乙骨憂太ねぇ…)
悟が認めるのだから、あぁ、きっと。面白いことになりそうだ。
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藤宮(プロフ) - さくらさん» コメント、応援ありがとうございます!!頑張りますね、これからもお付き合い下さい! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 6816ef7f40 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - コメント失礼します!楽しすぎて一気に見てしまいました!これからも応援してます!更新頑張ってください!! (2020年10月22日 21時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 露亞さん» 申し訳ないんですが、ムウさん?という方ではないです…。好きな作者さんなんですか?応援ありがとうございます!ご期待に応えられるよう頑張ります!! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 9eeede9267 (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ムウ…さん?あ、違ったらごめんなさい!更新頑張ってください!! (2020年7月1日 19時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - みーさん» いやもう、コメント下さるのが既に優しいっていうか…本当ありがとうございます!( ´ ` *) (2020年5月9日 14時) (レス) id: a3f9ffe9e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年3月15日 4時