40・それは歪んでいると言う ページ45
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久しぶりに見た彼女は酷く綺麗になっていた。
恵を彼女に任せてからと言うものの自分も教師になったので中々会えず、それでも理由を付けては連れ回す。その度に呆れながら僕に笑いかけてくれた。
そんな彼女を綺麗にもなったと感じるのは最近になってからのこと。
今日、制服に身を包んだ彼女はスカートにも関わらず真希と組手をしていた。
(…危機感無さすぎ)
真希は構わないが、棘とパンダとの距離が近い。二人は健全な男子だと言うのに。…いや、パンダはパンダか?
まぁ仲良くしてるなら良い。真希が組手に彼女を誘ったのも恐らく一緒に居たかったからだろう。可愛がってるなら良いんだ。ウン。
そして今、乙骨憂太の元に彼女を案内する。
『__景!まって、』
焦ったような彼女の声に、やっと出てきたと口角を上げた。僕の目的はこれだ。コイツに会いたかった。
彼女が呪われているのは初めて会った時は気づかなかったが、次第にアイツの呪いとしての存在感が強くなり、やっと気づいた。でもその頃には踏み込んでいいものかと遠慮してしまい聞けなかった。
傑も硝子も、彼女の心に入るのは躊躇した。Aを傷つけることだけはしたくなかったから。
しかし、乙骨憂太が現れて口実が出来た。
彼の呪いを同じ呪われた側として見てほしい、何か分かることはないだろうか。そんな言葉で、呪術師の顔で、彼女を連れていく。
隠れるのが上手なAの呪いも、折本里香を警戒して出てくるかもしれない。お互い大切な人の為なら手段は問わないタチだろ。
そんな本心を隠して。
『里香ちゃんは乙骨さんが大好きなんだね。私も景が大好きなんだよ』
彼女が言う。心配そうな顔をする乙骨を安心させるように微笑んでから言葉を続けた。
『二人の好きとは種類が違うけど、相思相愛なの。二人も一緒でしょ?』
僕の本心に気づいてるかのように、こっちを一瞥してから消えたあの呪いを「大好き」だとか「相思相愛」だとかあっさり言ってしまう。
…恋愛感情ではないみたいだけど、妬けるな。
『だから心配も警戒も要らないよ。二人の間に私は入らないから』
その言葉に折本里香の空気がほんの少し柔らかくなり、女とは怖いものだと五条は含み笑いをする。
__あぁ、やはり
(…愛より歪んだ呪いはないな)
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藤宮(プロフ) - さくらさん» コメント、応援ありがとうございます!!頑張りますね、これからもお付き合い下さい! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 6816ef7f40 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - コメント失礼します!楽しすぎて一気に見てしまいました!これからも応援してます!更新頑張ってください!! (2020年10月22日 21時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 露亞さん» 申し訳ないんですが、ムウさん?という方ではないです…。好きな作者さんなんですか?応援ありがとうございます!ご期待に応えられるよう頑張ります!! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 9eeede9267 (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ムウ…さん?あ、違ったらごめんなさい!更新頑張ってください!! (2020年7月1日 19時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - みーさん» いやもう、コメント下さるのが既に優しいっていうか…本当ありがとうございます!( ´ ` *) (2020年5月9日 14時) (レス) id: a3f9ffe9e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年3月15日 4時