38・センパイ達と ページ43
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「おいA。……A?」
いい加減起きろ!と、寝転がった私に彼女は声を荒らげた。
(白昼夢…?)
あれからまた、何年経っただろうか。とりあえず今は中学三年生です。
今日は高専に用があって来たのに、何故か真希さんの訓練に付き合わされている。まぁ彼女の体術は勉強になるからいいけど。
『でも酷いですよ、制服のままなのに汚れたじゃないですか』
「Aも乗り気だったろ?」
「しゃけしゃけ」
『シャラップです御二方!!』
笑っては余計なことを言ってくるパンダ先輩と棘先輩に思いっきり指をさすと、「自信アリな顔で相手しますって言ったわりにすぐ負けた」とまた笑われてしまった。くっそ…事実ぅ。
「ほら」
はぁ、とため息をつく私に真希さんがそう言って、手を差し伸べて立たせてくれる。
(…かっこいい)
最初は全く仲良くしようとしてくれなかったのに、今ではこんなに優しくしてくれる。可愛くてかっこよくて綺麗な真希さん。
初めて会った頃は私に苦手意識があったらしい。恵まれているんだろう、って。彼女も思うことが沢山あるのだろう。でも結局、根は優しい人だから。
(今は仲良しだもんね)
へへと笑うと、真希さんは不思議そうに首を傾げて私を見た。
「なに気持ち悪い顔してんだよ」
……やっぱ一方通行の想いかもしれない。
『…そんな変な顔してました?』
ちょっと傷ついた…と眉を下げる私の元に棘先輩が歩いてくる。
彼は私の制服に付いた草やら土やらを手で叩いて落としてから、私の手をぎゅと握った。
「こんぶ!」
『え?可愛いって?ありがとうございます』
「都合のいい解釈すんな」
『言ってくれてますって!!』
先輩方って結構辛辣なんだよね。
実際のところ、棘先輩が何と言ったかは良く知らない。でも彼と接するときはテンションでって知ってるから大丈夫。
絶対いつか、完璧に「棘語」を理解してやる。
「はーい君たちそこまでね」
決意を固めていた時、声と同時にパンパンと手拍子が鳴った。音の先には白髪にサングラスの男が悠々とした様子で立っている。
『悟じゃん』
「げ、」
「うわ」
「おかか…」
「ねぇ何その反応?」
各々の性格が反映された呟きに、悟は「そういうときだけ仲良いよね」と肩を竦めて笑った。
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藤宮(プロフ) - さくらさん» コメント、応援ありがとうございます!!頑張りますね、これからもお付き合い下さい! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 6816ef7f40 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - コメント失礼します!楽しすぎて一気に見てしまいました!これからも応援してます!更新頑張ってください!! (2020年10月22日 21時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 露亞さん» 申し訳ないんですが、ムウさん?という方ではないです…。好きな作者さんなんですか?応援ありがとうございます!ご期待に応えられるよう頑張ります!! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 9eeede9267 (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ムウ…さん?あ、違ったらごめんなさい!更新頑張ってください!! (2020年7月1日 19時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - みーさん» いやもう、コメント下さるのが既に優しいっていうか…本当ありがとうございます!( ´ ` *) (2020年5月9日 14時) (レス) id: a3f9ffe9e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年3月15日 4時