甘噛みって地味に痛い ページ5
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眉間に皺を寄せ口をきゅっと結び、如何にも「悩んでます」といった顔をしているAを五条は呆れた顔で見ていた
愛犬だとは説明されたが、なんで呪霊と分かった今でも大切にしようとするかな。いっそのこと、自分の知ってる愛犬じゃないと否定した方が楽だろうに
……バカだなぁコイツ
『五条さん、やっぱり…祓った方がいいんですよね?』
「まぁね、残念だけど」
表情も変えずに言った五条を見て、Aは嘘っぽいなと苦笑いする
『本当、残念です』
目を伏せて呟き、ゆっくりと犬に近づくAを五条は止めようとして…やめた
その犬が、五条にだけ敵意を向けてることに気付いたのだ
呪霊のくせに、ただの犬みたいにしやがって
五条は内心で悪態をついて、犬の前に立っているAの隣に腰を下ろす
『どうしました?愛でたくなったんです?』
「怪我されたら困るんだよ」
『あはは。しませんよ、怪我なんて』
「あっそ」
会話が途切れた後、Aは決心した顔で犬を見つめた。恐る恐る手を伸ばし、そのふわふわの毛に触れる
呪霊を触るなんて危ないが、Aの綻んだ顔と犬の幸せそうに細められた目を見て、五条は最期くらい良いかと考えた
完全に油断していたのだ
「祓うとこ、見ない方がいんじゃねぇの?」
『いえ、最期まで見届け__』
_ガブリ
Aの顔が強ばった。ボタボタと流れ落ちる血。鋭い歯が刺さった、細く色白の腕
五条の目が見開かれる
「っ、」
声よりも、肺の空気が出た
五条はAを抱き上げて、その場から離れる
……なんで、敵意なんて俺にしかなかったのに
『五条さ、』
「このまま高専行くから」
『でもあの子がっ!』
「自分のことに集中してろ」
痛みに顔を歪めながら自分の腕を見て、Aは更に顔を青くした
「…ごめん」
『え?』
「俺が、ミスった」
後悔している様子の五条を見て、Aは目を瞠る
この人、謝るんだ…。失礼だとは分かってるけど謝られるとは思わなかった。えーと、どう反応すればいんだろ
大丈夫とか気にしないでとか、そんなありきたりな言葉で納得するかな。まって腕すごい痛い
痛いのに、段々と意識が遠のく
『それより五条さん…めっちゃ眠い…』
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藤宮(プロフ) - さくらさん» コメント、応援ありがとうございます!!頑張りますね、これからもお付き合い下さい! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 6816ef7f40 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - コメント失礼します!楽しすぎて一気に見てしまいました!これからも応援してます!更新頑張ってください!! (2020年10月22日 21時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 露亞さん» 申し訳ないんですが、ムウさん?という方ではないです…。好きな作者さんなんですか?応援ありがとうございます!ご期待に応えられるよう頑張ります!! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 9eeede9267 (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ムウ…さん?あ、違ったらごめんなさい!更新頑張ってください!! (2020年7月1日 19時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - みーさん» いやもう、コメント下さるのが既に優しいっていうか…本当ありがとうございます!( ´ ` *) (2020年5月9日 14時) (レス) id: a3f9ffe9e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年3月15日 4時