33・きっと逢えたら、って ページ35
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その日から暫くの間は頻繁に恵くんの家に通う日々が続いて、名前呼びくらいは出来るようになった。勿論、津美紀ちゃんとも。
悟曰く、思ったよりは早く仲良くなってるらしい。
「夜鎮は五条さんと出会って何年くらい経つんだ?」
もう秋になり肌寒くなってきた頃、恵くんとアイスを買った帰り道で聞かれる。ちなみに経費は悟。
(何年……。結構ある気がするけど)
『えっと…五年くらい?』
「長いな」
『恵くんは?』
「小一からだから、三年」
その答えに私は驚いた声を上げた。
三年って…二年差しかないから私と大して変わらないじゃん。
あぁでも、私達はその二年で色々あったなぁ。
悟も硝子さんも今では高専を卒業してる。
(あの人も居れば、今頃…)
そんな考えを振り払うように顔を上げたその時だった。その人の背中が見えたのは。
噂をすればなんとやらとはこのことだ。
風が吹いて乱れる髪を、彼のことを見逃さないよう慌てて抑える。そう、見逃してはならない。一挙一動さえも。
「夜鎮?」
訝しげな恵くんの声は頭に入らなかった。
じっと見つめた先、彼の真っ黒なパーカーのフードが取れる。なびく黒髪を見て確信した。
(__あぁ、)
____傑だ。
そう思った次の瞬間には走り出していて。恵くんの戸惑った声も、どうして此処になんて疑問も気にならない。
ただただ、彼だけを見据えていた。
角を曲がってしまった彼に手を伸ばす。届かない。どうしても。
___待って。
まって、お願い。もう二度と___
私じゃ絶対、届かないけど、
『っ、すぐ__!!』
すぐる、そう呼び損ねた先。傑だと確信した彼が曲がった角の先には誰も居なかった。何も無い、ただの行き止まり。
(………会えると思ったのに)
ずっと願っている。彼が居なくなった日から。
止めれなかったことを後悔だってしてる。
どうしたら良かっただろうって、どうするべきだったんだろうって、ずっと悩んでる。
会えば、会うことさえ出来れば、
(_なんとかなるんじゃないか、って)
意味の無い期待だってしてる。
ずっとそう。
こんなこと思ってはいけないのに。
私はずっと____
「泣いてるのかい?」
__貴方に願ってしまっている。
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藤宮(プロフ) - さくらさん» コメント、応援ありがとうございます!!頑張りますね、これからもお付き合い下さい! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 6816ef7f40 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - コメント失礼します!楽しすぎて一気に見てしまいました!これからも応援してます!更新頑張ってください!! (2020年10月22日 21時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 露亞さん» 申し訳ないんですが、ムウさん?という方ではないです…。好きな作者さんなんですか?応援ありがとうございます!ご期待に応えられるよう頑張ります!! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 9eeede9267 (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ムウ…さん?あ、違ったらごめんなさい!更新頑張ってください!! (2020年7月1日 19時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - みーさん» いやもう、コメント下さるのが既に優しいっていうか…本当ありがとうございます!( ´ ` *) (2020年5月9日 14時) (レス) id: a3f9ffe9e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年3月15日 4時