31・気づけなかった心の内は ページ33
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『…は？』
手が震えた。
取りこぼしそうになった携帯を慌てて掴み直して、両手でぎゅっと握る。
『いま、なんて……？』
それはちゃんと聞こえて、理解出来る言葉だった。だからこそ動揺が隠せなかった。
どうして、なんで、
そんな疑問ばかりが頭の中をグルグルと回って、危険信号のように頭痛がする。
息を呑むような音が携帯越しに聞こえて。どうやら、動揺しているのは私だけではないらしい。そりゃそうだ。傑が＿＿＿＿
＿＿＿傑が、一般人を呪殺したなんて。
その数、112名。
今年の夏は例年より忙しいと聞いた。特に八月から九月の間。
だからここ一ヶ月は皆と会う機会も殆どなく、大変そうだと思いながらも大人しくしていたのだ。私に出来ることも無かったから。
でも……
『(その一ヶ月で一体何があった…？)』
前から傑にそれらしい態度があったとしてもこんなに早く事が起きるなんて。
これなら無理にでも都合をつけて会っておくべきだった。頭で理解しても心が追いつかない。
「A」
久しぶりに聞いた彼の声。
普段通りに聞こえるが、混ざり合った感情を無理矢理押さえつけているような声だった。
ねぇ、悟。
さとる、さとるは、
『＿＿大丈夫？』
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
久しぶりに聞いた、電話越しのその子の声。
大丈夫？と聞かれた。俺よりずっと年下の女の子に心配されている。
動揺は隠した筈なのに。気持ちは切り替えてから電話をかけた筈なのに。
どうしてわかった？
自分も混乱しているくせに、どうして先に俺の心配をする？
Aのことなら大分知ってるつもりだが、その実、何も知らないような感覚がした。
思えば初めて会った時も調子を崩されていた気がする。
その小さい身体の中身に釣り合わない、大人びた性格の。漆黒の髪に淡い朱の瞳を持った、何時からか急に現れた夜鎮家の娘。
才能があるとは言われてるみたいだが、どんな術式を持っていたか。その家族についても俺は知ってるか？
＿＿＿いや、知らない。
何も知らなかったことに、それにすら気づけなかったことに、動揺すらも持っていくように体の熱が冷めた。
…なぁ、傑、俺は＿＿＿＿
「(俺はお前の非術師に対する想いも、何も知らなかったのか？)」
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藤宮(プロフ) - さくらさん» コメント、応援ありがとうございます！！頑張りますね、これからもお付き合い下さい！ (2020年10月29日 20時) (
レス) id: 6816ef7f40 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - コメント失礼します！楽しすぎて一気に見てしまいました！これからも応援してます！更新頑張ってください！！ (2020年10月22日 21時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 露亞さん» 申し訳ないんですが、ムウさん？という方ではないです…。好きな作者さんなんですか？応援ありがとうございます！ご期待に応えられるよう頑張ります！！ (2020年7月5日 22時) (レス) id: 9eeede9267 (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ムウ…さん？あ、違ったらごめんなさい！更新頑張ってください！！ (2020年7月1日 19時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - みーさん» いやもう、コメント下さるのが既に優しいっていうか…本当ありがとうございます！( ´ ` *) (2020年5月9日 14時) (レス) id: a3f9ffe9e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤宮 | 作成日時：2020年3月15日 4時
