26・相反した彼の想い ページ28
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「Aちゃんって、今は夜鎮なんでしょ?」
公園のベンチで彼女が口を開く。
「災難だったね」
『うーん…まぁ、そうですね』
私が保護すれば良かったかな、と言う九十九さん。……この口ぶりは知ってるんだな。
「ところで、Aちゃんは高専の方針についてどう思う?」
『方針?』
方針ってなに?何か方針を決めないといけないようなことあったっけと考えていれば、顔に出ていたのか、呪霊への対処法だと笑われた。
「高専は対症療法をするけど、私は原因療法がしたいの。つまり、呪霊を狩るんじゃなくて呪霊の生まれない世界を作ろうってこと。
それについて君はどう思う?」
『…私に聞いて、どうするんです』
こんなガキの意見を聞いたところでメリットなどないだろうに。特級の考えることは難しい。
でも、言いたいことは分かる。
呪霊ってのは人がいる限り、生きている限り、蛆のように湧いてくるものだ。
それに対して呪術師は
だから九十九さんは対症療法は適切じゃないと考えているんだろう。
でも、それじゃあ、原因療法って……、
「他の子にも聞いたからね、君にも会ったついでに聞こうと思って。あ、それと…
術師本人が死後呪いに転ずるのを除いて、術師からは呪霊は生まれない
っていうのを踏まえて答えてくれ」
その言葉を聞いて、はっとした。
原因療法、術師から呪霊は生まれない、他の子_____
「ちなみにねぇ、その子は非術師を皆殺しにすればいいって言ってたよ。それについてはアリだと思うかな?」
『___それ、誰と話したんですか、』
「ん?」
『っ、夏油傑と、話したんじゃないですか?』
「……君たち…知り合いだったの?」
九十九さんは「不味いことまで話しちゃったな」という風に目を逸らす。
聞きたかった。でも、聞きたくなかった。
___非術師を皆殺しにする
それを傑が口にしてしまったなんて、言葉にしてしまったなんて。
「ごめんね。さっきのは忘れて__」
『傑は、他に何て言ってました?』
九十九さんの言葉を遮って言った私に、彼女は少し考えてから答えてくれた。
「…非術師を見下す自分とそれを否定する自分がいるってさ」
…あぁ、やっぱり。
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藤宮(プロフ) - さくらさん» コメント、応援ありがとうございます!!頑張りますね、これからもお付き合い下さい! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 6816ef7f40 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - コメント失礼します!楽しすぎて一気に見てしまいました!これからも応援してます!更新頑張ってください!! (2020年10月22日 21時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 露亞さん» 申し訳ないんですが、ムウさん?という方ではないです…。好きな作者さんなんですか?応援ありがとうございます!ご期待に応えられるよう頑張ります!! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 9eeede9267 (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ムウ…さん?あ、違ったらごめんなさい!更新頑張ってください!! (2020年7月1日 19時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - みーさん» いやもう、コメント下さるのが既に優しいっていうか…本当ありがとうございます!( ´ ` *) (2020年5月9日 14時) (レス) id: a3f9ffe9e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年3月15日 4時