18・言葉の足枷 ページ20
.
私の言葉が意外だったのか、悟は目を瞠る。
サングラスに映る私は酷く心配そうな顔をしていた。
『ホントに大丈夫なの?』
「うん、怪我も反転術式で…」
あぁ、なんだ。なら大丈夫だな。
傷跡も残らないだろうと安心する。
『痛かった?……よね』
意味無いのに聞いてしまった。
他人の痛みなんて分からない。想像出来ても共感出来ないのに。その場に私が居ても、結果は同じなのに。
『ごめん、余計なこと聞いた』
思い出させてしまったかもしれないと、聞いたことを後悔している私の頬を悟の両手が優しく包む。
「ハイになってたのか、あんま覚えてないけど……痛かった」
俺も人間だし、と彼は付け足して笑った。
悟が死にかけて、怪我をして、それを痛いと感じて笑っていることが信じ難くて、なんて返したら良いか分からない。
「……そんな顔すんなよ、もう終わった事だからさ」
『…うん。あんまり無理しないでね』
___死なないで
そんな言葉、口には出来なかった。
自分の吐く言葉が、他人の吐く言葉が、呪いとなることを私は知っている。
私の言葉が彼の呪いになってはいけない。彼の足枷になってはいけない。
だって彼は、私とは格の違う人間だから。
将来は最強なんて呼ばれたりするのかな?
いや、傑と二人で最強って言われるだろうな。それでも今より強くなっていることだろう。
なんて楽しみな将来だ。
『悟が死にかけるなんて随分強い呪いも居るんだね』
「呪いじゃなくて人間。呪力ナシの」
『え?』
なんて?
__強い術師ほど思いもよらないことで死ぬ。
どうやらそれは本当みたいだ。
まさか、あの五条悟が呪力の無い人間に殺されかけるとは。
「聞きたい?…ま、忘れたくても忘れないだろうから話してあげてもいいけど」
ひとつ。そういう人間に心当たりがあった。
忘れたくても忘れないであろう人に。
『もしかしてなんだけど…元々禪院の伏黒甚爾とかいう人だったりする?』
「は?」
低い声でそう返される。
驚いた顔をしているということは当たってるのだろう。
やっぱり、私があの時出会ったあの人は簡単に術師を殺せる人だったんだ。つくづく死ななくて良かったと思う。
「A会ったことあんの?」
『一度だけね』
「……聞いてないんだけど…?」
568人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藤宮(プロフ) - さくらさん» コメント、応援ありがとうございます!!頑張りますね、これからもお付き合い下さい! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 6816ef7f40 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - コメント失礼します!楽しすぎて一気に見てしまいました!これからも応援してます!更新頑張ってください!! (2020年10月22日 21時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 露亞さん» 申し訳ないんですが、ムウさん?という方ではないです…。好きな作者さんなんですか?応援ありがとうございます!ご期待に応えられるよう頑張ります!! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 9eeede9267 (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ムウ…さん?あ、違ったらごめんなさい!更新頑張ってください!! (2020年7月1日 19時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - みーさん» いやもう、コメント下さるのが既に優しいっていうか…本当ありがとうございます!( ´ ` *) (2020年5月9日 14時) (レス) id: a3f9ffe9e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藤宮 | 作成日時:2020年3月15日 4時