16・お客様 ページ18
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あれから数日。高専生の客が来たと言われて玄関まで出向く。
高専生か…玄関で待つなら悟ではないだろうと思っていれば、案の定違う人だ。
『傑?どうしたの?』
それにしても珍しい客だ。部屋に上がる気も無いみたいだし…元気が無さそうときた。
さて、どうしたものかな。
「Aは、非術師をどう思う?」
『んー………別に?』
傑は顔を俯かせたまま私に問う。
非術師は別に興味がないな。特定の人じゃないなら尚更気にする必要は無い。自分やその周りの人以外がどうでも良いのは皆同じだろう。
だってほら、今この瞬間に世界のどこかで知らない呪術師が死のうと非術師が死のうと興味無いでしょ?
「じゃあ、呪力も無いくせに悪意を持った人間は?」
『……質問の意図が分かんないんだけど…』
困ったな。傑は思い悩んでるようだけど私じゃ力になれそうもない。
『術師も非術師も、自分の周りの人以外は興味が無いかな。それに想像しようにも私はそういう人に出会ったことが__』
__無い。
そう言おうとして口を噤んだ。
ある。一年ほど前に出会って怖いと思ったんだ。
禪院…じゃなくて、伏黒甚爾という人。
いやでも、甚爾さんは悪意はあったかもしれないけど呪力はあるかも……呪力、感じなかったな…ないかも…。
『ごめん嘘。多分会ったことはある』
眉を寄せて納得していない顔をした傑に困ったように笑いかける。
『よく分かんないけど、そうだなぁ。
私の周りの人に術師でも非術師でも悪意を持った人が居たとして、それを行動に移そうとしても多分止めない思う。
でも心配はするし、口出しはするかも…」
答えになってないね、ごめん。
微笑すれば彼は大丈夫だと言った。
「ありがとう、…何となく分かったよ」
『そう…?……傑、何かあった?』
「ふふ、なんでもないよ。哲学的考えをしてみたくなっただけだ」
彼は笑った。
あぁ違う。私、そんな笑顔が見たかったんじゃない。
そんな薄っぺらなものじゃなくて、いつもみたいにもっと元気な笑顔が……、
「急に来て悪い、今日は帰るよ」
『………うん、分かった』
まぁ、また会えるだろうし、いっか。
私は傑が私に背を向けた後
「私は君に心配をかけてしまうかもしれないね」と呟いた理由を、その意味を、聞く気にはなれなかった。
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藤宮(プロフ) - さくらさん» コメント、応援ありがとうございます!!頑張りますね、これからもお付き合い下さい! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 6816ef7f40 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - コメント失礼します!楽しすぎて一気に見てしまいました!これからも応援してます!更新頑張ってください!! (2020年10月22日 21時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - 露亞さん» 申し訳ないんですが、ムウさん?という方ではないです…。好きな作者さんなんですか?応援ありがとうございます!ご期待に応えられるよう頑張ります!! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 9eeede9267 (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ムウ…さん?あ、違ったらごめんなさい!更新頑張ってください!! (2020年7月1日 19時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - みーさん» いやもう、コメント下さるのが既に優しいっていうか…本当ありがとうございます!( ´ ` *) (2020年5月9日 14時) (レス) id: a3f9ffe9e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年3月15日 4時