罪よそじ あまり やっつ ページ50
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何がしたかったとか、そんなのは別に、どうでもいい。
いやどうでも言いわけではないが、あの時の俺は自分でも何がしたかったのか分からない。本当に頭がとち狂ったのではと心配する程には自分の気持ちも分からなくなっていた。
ただ、本当にデートだったのかと確認したかっただけ。あわよくば『違う』と言ってほしくてアイツの帰りを待っていた。
「悟、待ってるのかい?」
「…別に良いだろ」
一時間。
「Aに変なことしないでよねー」
「しねぇよ(……多分)」
一時間。
「悟。お前の色恋に口を出すつもりは無いが早く寝_」
「あーはいはい」
一時間。
(遅い…)
からかってくる傑や硝子も、口は出さんと言いながら世話を焼いてくる夜蛾の小言も。全部受け流して待っていたのに帰ってこない。
今何時だと思ってやがる。ていうか、まさか朝帰りするつもりじゃ…。
なんて嫌な考えばかりが頭の中を廻ってイライラしていた時、待ち望んでいた姿が見えた。
そして気づいたら、アイツの手に自分の手を重ねるなんて奇行に走っている。だがしかしソレは始まりに過ぎず、俺の奇行はこれからだったらしい。
(なんで俺、密室にした?)
気づいたら部屋で二人っきり。
「…あぁそうかよ。分かんねぇだろうなオマエには」
そしていつもの事だが、口が盛大に滑りだす。
傷ついた表情だった。その口から零れる、俺達はお互いの気持ちを話したことがないという言葉に納得する。
が、その後に続いた言葉に驚いた。
『今まで私の気持ちをまともに聴いたことはあった?』
悲しそうな声色のそれに、あぁ、無いなと下を向く。掛けるべき言葉が分からない。
だけど『いたい』なんてのは嘘で、『デートじゃない』のは本当だと分かっている。
勘違いしないでね、なんて言い聞かせるような口調が可愛い。伺うような視線も。さっきの傷ついた顔も可愛かった。
(ホントおかしい)
普段ならそんなこと考えてる場合じゃないと割り切れるのに、密室のいつもと違う距離感でイカれてしまってる。
(なんで抱きしめてんだ)
離れないと、と思ったのに。Aが真っ赤な顔で狼狽えるから。心臓が息もできないくらい締め付けられる。
そういう所が、脈ナシじゃねぇかもなんてつけ上がらせる。
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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時