罪よそじ あまり よっつ ページ46
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『え、あの、えっと、それって、つま…り、』
ふつふつと熱の上がる頬を手で隠しながら、しどろもどろに返す。甚爾さんはそんな私を見て面白がるように喉を鳴らして笑った。
いやいやいやいやいや。確かに私はもう高専生だし、そういうことが出来ないわけではない…こともない。…けど、やっぱり駄目だろう。
だってそういうのは好き同士でやることであって。こんな簡単な、軽いノリで言うことでは……
『わ、私、未成年ですよ?』
「できねぇわけじゃねぇだろ。……まだ未経験か?」
『ばっ、な、何言って…!』
全くもって弱いけれど、取り敢えず反論をしようと思って言った言葉。甚爾さんはその返しとして爆弾を落としてきやがった。乙女になんて事聞くの…。
(じゃあ甚爾さんは経験あるのかな…)
そこまで考えて、何考えてるんだと慌てて頭を振る。
……あぁ、だめだ。私が甚爾さんよりもっと歳下だったら『何バカなこと言ってるんですか』なんて言ってどうにでも誤魔化せたのに。
出来る歳だからこそ、一度焦ってしまったらどう取り繕おうと無意味な気がする。
『……本気ですか?』
「………バカだな、そんなわけねぇよ」
恐る恐る問うと彼は暫し考えて、ふっと薄く笑ってそう言った。その答えに少し拍子抜けしながらもほっとする。それと同時に、遊ばれていたのかという怒りも。
『…悪趣味ですね』
「そんな顔すんな。美人が台無しだ」
そんなこと、本当に思っているのやら。私は知る由もないのだけど。
_____
(…初心な反応しやがって)
もっと普通に対応していたなら、連れ帰っていたのに。…なんて。
_________
甚爾さんと話していてすっかり暗くなった道を歩く。
(門限あったっけ。あった気がするけど…まぁいいや)
夜蛾先生に見つからなければ良いだろうと思って、珍しく硝子も傑くんも、誰も居ない廊下を静かに進んだ。
ドアノブに手を掛けて、開けようとしたその時___
『っ!』
__ひたり。
私の手の上に、冷たく角張った手が置かれる。
……気づかなかった。何時からいたのか、今偶然後ろに居ただけなのか。いずれにせよ気配が全く無い。
暗いせいか上手く見えないが、それでも真後ろに居る人。彼のことは感覚で分かってしまった。
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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時