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罪みそじ ページ32

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バン!!と大きな音を立てて五条が机を叩いた。急な音に驚いて、思わず肩が跳ね上がる。




「…自惚れんなよ」

『ご、五条?』




五条は下を向いて静かに口を開いた。

前髪が顔にかかって影を作って、その表情は上手く伺えない。でも何となく焦っているように見える。




「俺が何で、お前なんかの為に行動すんだよ」




(なに、なんで怒ってんの?)




少し前。

少し前には、笑顔を見せてくれたのに。


今私を見据えた五条の目が冷たくて、その余りの差に戸惑った。




別に五条と仲良くなりたい訳じゃない。五条のことは嫌いだから。でも笑顔を見れた時、少し嬉しかった。ほんの少しだけ期待した。

お互い憎まれ口はきいても、何年も私の元に来る五条とは腐れ縁のようになっているから。




(でも、違った)




なんで期待したんだろう。憎く思っていた筈なのに、大っ嫌いな筈なのに、いつの間にか絆されている所があった。心のどこか、いつか分かり合えると思っていた。




(そんなこと、有り得ないのに)




「……バカみてぇ」




五条の言う通り、本当にバカだ。




(望むべきじゃ、なかった)




少しでも、仲良くなれたら…なんてこと。




そう考えたら、いつもの間にかポタリと手の甲に何かが落ちる。




『っ、え?』

「は…?」




は?なんで?泣くほどの事じゃなくない??何泣いてんの意味がわからん。




「は、、おま、」




泣くのは予想外で、私も五条も二人して困惑した顔をしていた。


情けない顔なんて見られたくない為、『ごめん、今日は帰る』と言って立ち上がる。しかし五条は私の手を掴んだ。




「…っおれが、」

『ごめん』




でも今、触られるのはなんだか嫌でその手を振り払う。五条は何か言いたそうにした後、視線を逸らしてそれ以上は追わないでいてくれた。









__屋敷を出て少し走って、人の居ない道で立ち止まる。



五条に私の事を否定されるのは今に始まった事じゃないのに、泣いたのが不思議で堪らない。




(なんでかな、)






馬鹿にされないようにと、どれだけ訓練しても。

強くなろうと、どれだけ呪霊を祓っても。

認められようと、どれだけ呪詛師を殺しても。




(…心は制御出来ないんだなぁ)






まるで、私の知らない感情があるみたいに。

罪みそじ あまり ひとつ→←罪はたち あまり ここのつ



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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時

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